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「マイナス金利の効果を見極めていく」市場を敵に回した黒田総裁の詭弁=近藤駿介

「マイナス金利政策」は、3年間続けてきた「異次元の金融緩和」の延長線上にあるもの。その異次元緩和に効果がないのであれば、マイナス金利も効果を発揮することはない。(『近藤駿介~金融市場を通して見える世界』近藤駿介)

プロフィール:近藤駿介(こんどうしゅんすけ)
ファンドマネージャー、ストラテジストとして金融市場で20年以上の実戦経験。評論活動の傍ら国会議員政策顧問などを歴任。教科書的な評論・解説ではなく、市場参加者の肌感覚を伝える無料メルマガに加え、有料版『元ファンドマネージャー近藤駿介の現場感覚』を好評配信中。

失敗だった「異次元緩和」の延長線上にあるマイナス金利政策

マイナス金利の「効果見極め」が無駄である理由

このような中央銀行の詭弁がまかり通ってしまうところが問題。

日銀の黒田東彦総裁は28日、金融政策決定会合後の記者会見で、2月に導入したマイナス金利政策について「(経済や物価に対する)効果の浸透度合いを見極めていくことが適当だ」との考えを示した。日銀は同日、金融政策の現状維持を決めた。黒田総裁は「経済や物価の下振れリスクは引き続き大きい」と語り、必要と判断すれば追加的に金融を緩和する考えを重ねて表明した。

出典:マイナス金利「効果見極め」 日銀総裁「変化表れにくい」 – 日本経済新聞(2016年4月29日)

「マイナス金利政策」は、3年間続けてきた「異次元の金融緩和」の延長線上にあるもの。したがって、まず「異次元の金融緩和」の効果検証をしなければならない。「異次元の金融緩和」に効果がないのであれば、その延長にある「マイナス金利政策」が効果を発揮することはないのだから。

【関連】日経624円安「ブルームバーグショック」日銀追加緩和見送りで失望売り進む

「異次元の金融緩和」の政策効果検証を避けるために「マイナス金利政策」に踏み込み、「マイナス金利政策の効果を見極める時期」というのはデタラメな論理。

滑稽でもあり、悲しくもあり

円安が限界に達し、鉱工業生産(1~3月期)もマイナスになり、企業業績が悪化してきていることを考えると、アベノミクスが掲げた「トリクルダウン計画は破綻しているといえる。

それは「トリクルダウン」という言葉がもはや死語になっているところからも明らかなこと。

それを反映するように、実質消費支出は大幅に減り、物価がマイナスに片足を突っ込んできた。

有効求人倍率が1倍を超えていることが雇用情勢改善のPR材料に使われているが、所詮「求人」でしかない。東芝が1万4000人超、シャープが1000人規模の人員削減を行い、さらに地銀の合併等で人員削減が必至の情勢のなかれ、いくらでも脚色のできる「求人」統計で「雇用環境改善」を謳う姿は滑稽でもあり、悲しくもある。

因みに、東芝とシャープ2社の人員削減数は、足下の常用有効求職者約130万人の1%以上の相当する規模。

Next: これ以上何を「見極める」のか?日銀総裁としての資質に疑問符

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