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中国“規制地獄”を生きる子ども達の最新ネット事情。ゲーム制限・教育改革を余裕で受け流すスマホネイティブの底力=牧野武文

子どもたちの時間は何に使われるようになったのか

では、この子どもたちの時間は何に使われるのでしょうか。

ひとつは、ネットに繋がないオフラインゲームです。オフラインのゲームはアクセス制限のしようがないので、いくらでも遊べます。ただし、問題は課金がしづらいことです。ゲーム企業は今、この制限をどうやって回避して、課金収益をあげるか懸命に考えているところだと思います。

もうひとつは、TikTokなどのショートムービーです。ショートムービーはゲームに次いで人気ですが、ゲームに比べて利用時間が短いのは、デバイスの利用時間を親から制限されている中で、ゲームを取るかショートムービーを取るかで、ゲームを取る子どもが多かったのです。

今回の制限により、ショートムービーにシフトすることが考えられます。

中国では、大人もお金を稼いで生活を維持していくという大きなプレッシャーの中で生きていますが、子どもも勉学に専念しなければならないというプレッシャーの中で生きています。大量の宿題をこなすことができず、深夜に泣きじゃくり、家族総出で徹夜して宿題を仕上げるという話もよくあります。

しかし、中国の子どもたちは、デジタルリテラシーが高く、したたかに生き抜いています。ゲーム制限にもすでにさまざまな方法で迂回する方法がネットに出回っているように、さまざまな方法でプレッシャーが強い学校生活を生き抜いています。

宿題を代わりにやってくれる「書き取りロボット」が人気化

2019年の春節休みの期間、プロッターが「書き取りロボット」として小学生の間でヒット商品になったことがあります。このプロッターはボールペンなどを装着して、文字を書かせることができます。しかも、自分で描いた手描き文字をスマホでスキャンすると、書き癖を分析して、自分の手描き文字風に書いてくれるのです。

本来は、営業マンが顧客に手書き風の手紙を作成するなどの目的で開発されたものですが、それに小学生が目をつけて、書き取りの宿題をこなすのに使われたのです。小学校低学年のうちは、教科書の書き取りなどの課題が大量に出されます。教科書のテキストデータはネットで見つけることができます。これをプロッターに書かせることで書き取りの宿題をやらせてしまうのです。

価格は400元(約6,700円)ほどからで、子どもにとって決して安いものではありませんが、春節の時期はお年玉ももらえるため、友だち同士で共同購入をして、宿題を機械にやらせていたようです。

このプロッターは、当然、保護者の間で大きな問題になりました。ECサイトに対して販売を自粛してほしいという申し入れもあったようです。しかし、議論は面白い方向に進みました。それは学校の宿題のあり方です。このデジタルな時代に、大量の書き取りという宿題を課すことが適切なのかどうかということです。もちろん、小学校低学年のうちは必要かも知れませんが、高学年になってまで書き取りをさせるぐらいなら、デジタルリテラシーを養う課題や思考力を必要とする課題をやらせるべきなのではないかという議論です。

また、プロッターといっても、実際に使いこなすには、文字を書く位置の調整など難しい操作があります。これを友だち同士で教え合いながら使いこなしている子どもたちを褒めるべきなのではないかという声もありました。その声を各メディアが取り上げ、専門家も巻き込んだ大きな議論となりました。

また、学習アプリを使う子どもたちも増えていました。人気になったのは――

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  • vol.087:洗脳神曲「密雪氷城」の背後に隠されたプロモーションロジック(8/30)
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  • vol.085:成長するオタク市場の「三坑アパレル」。JK制服、漢服、ロリータが人気の中心(8/16)
  • vol.084:テンセント帝国の終わりの始まり。ゲーム業界に起きている大きな地殻変動(8/9)
  • vol.083:簡単ではない自動運転ロボタクシーの事業化。試験運行を始めている6社の事業化戦略とは(8/2)

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  • vol.082:広告メディアとしてのTikTok。デジタル広告の主流になり始めているショートムービー広告(7/26)
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  • vo.079:再び動き始めた顔認証技術。中国の主要プレイヤー6社の戦略(7/5)

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  • vol078:ECがビジネスモデルの変革期に突入。ライブコマースによる「興味EC」「アルゴリズムEC」とは(6/28)
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  • vol.074:アリババはテンセントの軍門に降ったのか。アリババのサービスがWeChatミニプログラムに続々対応(5/31)
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2021年4月配信分
  • vol.069:インドネシアで苦戦をするアリババ。発想力で抵抗する地元系スタートアップ(4/26)
  • vol.068:私域流量を集め、直販ライブコマースで成功する。TikTok、快手の新しいECスタイル(4/19)
  • vol.067:ビジネスとして成立をし始めたeスポーツ。老舗企業も注目する新たなコンテンツ産業(4/12)
  • vol.066:ネットの中心はテキストからショートムービーへ。始まりつつある大変化(4/5)

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2021年3月配信分
  • vol.065:中国で始まった海外渡航。日本へのインバウンド旅行客はいつ戻ってくるのか(3/29)
  • vol.064:中国社会の弱点「信用形成」を補うブロックチェーン技術。その応用事例(3/22)
  • vol.063:テック企業にとっての春節。テックサービスを地方と高齢者に伝播をさせる重要な時期(3/15)
  • vol.062:突如として売れ始めた電気自動車(EV)。中国のEVシフトが本格化(3/8)
  • vol.061:再び注目を集める無人小売テクノロジー。非接触と人材採用がキーワードに(3/1)

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2021年2月配信分
  • vol.060:ショッピングモールの不振から見える小売業の変革。人と商品の関係性が変わる(2/22)
  • vol.059:新型コロナ終息後の消費行動はどう変わったのか。5つのキーワード(2/15)
  • vol.058:再び成長を始めたTik Tok。テンセントのWeChatと正面から激突(2/8)
  • vol.057:テック企業に蔓延する996。社会問題化する長時間労働問題(2/1)

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2021年1月配信分
  • vol.056:広告のコンテンツ化が進むビリビリとTik Tok(1/25)
  • vol.055:中国のAI開発体制と2020年のAI応用例(1/18)
  • vol.054:中国最後の巨大市場「銀髪族」。テック企業が注目をする4.7億人市場(1/11)
  • vol.053:保険金の支払いは投票で決める。加入者1億人を突破した「わりかん保険」(1/4)

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2020年12月配信分
  • vol.052:定着をする新中国茶カフェ。鍵は「品質」「ネット」「アート」(12/28)
  • vol.051:限界に達している独身の日セール。それでも記録更新をするアリババ(12/21)
  • vol.050:系列化が進む中国主要テック企業(12/14)
  • vol.049:自動車に関心を示し始めたZ世代(12/7)

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2020年11月配信分
  • vol.048:中国電子産業の原点「山寨機」とは何だったのか?(11/30)
  • vol.047:ライブコマース利用者の4類型と5つの対応策(11/23)
  • vol.046:デジタル人民元の仕組みとその狙い(11/16)
  • vol.045:SARS禍で生まれたEC。SARSで成長したアリババと京東(11/9)
  • vol.044:貧困を撲滅するタオバオ村の成功例と失敗例(11/2)

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2020年10月配信分
  • vol.043:スマートフォンサブブランド戦略はどのように機能をしているのか?(10/26)
  • vol.042:EC「京東」のライフサイクル手法。ビッグデータ解析によるマーケティング(10/19)
  • vol.041:休日消費に起きている変化。キーワードは即時配送、到家サービス、家族(10/12)
  • vol.040:進化が止まらないライブコマース。自動車、マンション、ザリガニまでも(10/5)

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2020年9月配信分
  • vol.039:すべての小売業は新小売になる。既存小売はどこまで新小売化を進めているか?(9/28)
  • vol.038:プラットフォーム化するショートムービー。そのビジネス構造(9/21)
  • vol.037:WeChatへの大転換を可能にしたテンセントと創業者のポニー・マー(9/14)
  • vol.036:デジタル界の無印良品になりたい。中国製造業を変えた小米(シャオミ)創業者「雷軍」(9/7)

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2020年8月配信分
  • vol.035:新中華圏が構築されつつある東南アジアITビジネス(8/31)
  • vol.034:中国の人工知能産業は、米国にどこまで迫っているのか(8/24)
  • vol.033:BATがBATである理由。トラフィック制御からの視点(8/17)
  • vol.032:ソーシャルEC。次世代ECなのか、それとも中国独特のECなのか(8/10)
  • vol.031:大量導入前夜になった中国の自動運転車(8/3)

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2020年7月配信分
  • vol.030:コロナ終息後、中国経済に起きている5つの変化(7/27)
  • vol.029:店舗、ECに続く第3の販売チャンネル「ライブEC」(7/20)
  • vol.028:MaaSにいちばん近い企業。滴滴出行の現在(7/13)
  • vol.027:中国に残された個人消費フロンティア「下沈市場」とは何か?(7/6)

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2020年6月配信分
  • vol.026:中国インバウンド客はいつ頃戻ってくるか?(6/29)
  • vol.025:ポイント還元をむしゃぶりつくす羊毛党とその産業構造(6/22)
  • vol.24:ゲーム業界から注目される女性プレイヤー。「彼女ゲーム市場」とは何か(6/15)
  • vol.023:即時配送が変える小売業態。新小売と社区団購(6/8)
  • vol.022 OPPO、vivoを生んだ歩歩高とその創業者段永平(6/1)

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2020年5月配信分
  • vol.021 感染拡大で実戦投入された人工知能テクノロジーの数々(5/25)
  • vol.020 経済復活の鍵は「ライブEC」。感染拡大から広がる新たな販売手法(5/18)
  • vol.019 生き残りを賭ける飲食業。鍵は「外売」(デリバリー)(5/11)
  • vol.018 ニューノーマル。終息後の新日常は、以前とどう変わるのか?(5/4)

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2020年4月配信分
  • vol.017 アリババとテンセント。ECビジネスをめぐる衝突(4/27)
  • vol.016 敗走するアマゾン、カルフール。理由はグローバルとローカルの衝突(4/20)
  • vol.015 中高年にスマホ決済を浸透させた台湾庶民派スーパー「PX Mart」の取り組み(4/13)
  • vol.014 1日で4.1兆円売り上げる「独身の日」は、どのように生まれたのか?(4/6)

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2020年3月配信分
  • vol.013 1日で420億円の商品を売る。網紅の桁外れの販売力の仕組み(3/30)
  • vol.012 広告メディアとしてのTik Tok。その驚異のコンバージョンの秘密(3/23)
  • vol.011 人口ボーナス消失とZ世代。経済縮小が始まる(3/16)
  • vol.010 中国テック企業は、新型コロナとどう戦っているか(3/9)
  • vol.009 潜在顧客を掘り起こし、リピーターを育成するモバイルオーダー(3/2)

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2020年2月配信分
  • vol.008 新小売戦略の要となったフードデリバリー「外売」(2/24)
  • vol.007 ミニプログラム活用で新規顧客を獲得する店舗小売(2/17)
  • vol.006 中国のEVシフトは成功なのか。それとも失敗なのか?(2/10)
  • vol.005 第2位のECに浮上した拼多多とは何ものか?(2/3)

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2020年1月配信分
  • vol.004 ファーウェイと創業者、任正非(1/27)
  • vol.003 シェアリング自転車は投資バブルだったのか(1/20)
  • vol.002 アリペイとWeChatペイはなぜ普及をしたのか(1/13)
  • vol.001 生鮮ECの背後にある前置倉と店倉合一の発想(1/6)

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image by: aslysun / Shutterstock.com
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知らなかった!中国ITを深く理解するためのキーワード』(2021年9月20日号)より一部抜粋
※タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による

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