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中国“規制地獄”を生きる子ども達の最新ネット事情。ゲーム制限・教育改革を余裕で受け流すスマホネイティブの底力=牧野武文

小学生にもスマホが必要不可欠なワケ

日本でも、最近はスマホデビューが小学生のうちというのが当たり前になってきました。そのきっかけは、塾や習い事に通うようになった時です。学校が終わってから塾や習い事に行くと帰りは暗くなってからになりがちです。そこで、子どもと連絡がつくようにとスマホを持たせるようになるケースが多いようです。

中国でも事情は同じで、しかも切実です。なぜなら中国では子どもの誘拐事件が多発しているからです。現在では非常に少なくなり、防犯カメラの設置などにより、犯人検挙に結びつく例が増えてきましたが、それでも年間4,500件ほどの未成年の誘拐事件が起きています。日本の同類の事件の発生件数は100件弱ですから、中国が日本の人口の10倍であることを考慮しても、中国の誘拐事件は多いと言わざるを得ません。しかも、ピーク時である2013年には2万件を突破していました。

親としては、学校の行き帰りが不安で、送り迎えをする親も少なくありません。しかし、自分で商売をしていたり、祖父母が同居していれば可能ですが、両親とも勤めであると、なかなか毎日送り迎えということもできません。

そこで、スマホを持たせ、いつでも連絡がつくようにしたいと考えるのです。

しかし、スマートフォンを持たせると、ゲームに熱中をしたり、SNSで悪い大人と知り合ってしまったりという悪影響も心配されます。そのため、スマホではなく、子ども用のスマートウォッチを持たせる親もいます。

スマートウォッチも人気化

特に人気になっているのが、広東小天才科技の「小天才」です。海外向けブランドはimoo(アイモー)で、スマートウォッチの分野ではアップル、ファーウェイ、サムスンに次ぐ第4位のメーカーです。2018年には、アップルに次ぐ第2位のスマートウォッチメーカーになったこともあります。

この小天才の最大のポイントは、単体で通話ができることです。SIMを内蔵しているので、普通のスマホと同じ音質での通話ができます。もちろん、通話先は保護者に限定されています。

また、上位機種になるとカメラが付いていてビデオ通話も可能です。ビデオ通話をするときは、画面部分を立てることができ、インサイド、フロントの両方のカメラを使うことができます。顔を見せることも、周囲の状況を映すこともできるようになっています。

さらにGPSトラッキングが可能で、親のスマホにはリアルタイムで位置情報が表示されます。地図上に仮想ジオフェンスを設定し、そこを出入りするとプッシュ通知をする機能もあります。例えば、学校、習い事の場所、町内などを設定しておき、出発、到着、エリア外への移動などをプッシュ通知させることができるようになっています。

さすがに監視の程度がきついので中学生になったら嫌がるとは思いますが、小学校低学年では男の子も女の子も小天才をつけている子どもをよく見かけます。

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