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日本で報道されなかった2021年「中国テック業界」10大ニュース〜テック企業規制、洗脳神曲、セクハラ事件、中国版インスタのエロ過ぎ問題まで=牧野武文

第3位:網紅が続々と脱税で高額追徴金

網紅の脱税の指摘が続いています。11月には林珊珊と雪梨、12月には日本でも最近知名度が上がってきたタオバオ達人の第一人者「ウェイヤー」、口紅王子「リ・ジャーチ」の巨額脱税が指摘されました。

ウェイヤーに対する追徴金は巨額で13.41億元(約240億円)にもなりました。ウェイヤーの場合は、それだけでなく、タオバオ、ウェイボー、抖音などのアカウントも凍結されてしまいました。つまり、ネットでの活動がまったくできなくなります。

脱税といっても、個人の収入を会社に入れ、そこから給料をもらう形にし、会社の経費を使うという、個人事業主としてはありがちな節税をしていただけであり、個人的には厳しすぎるような気もしないではありません。

「ウェイヤーなど、すでに富豪と言えるほど稼いだいのだから、引退をして遊んで暮らせばいい」と言う人もいますが、ウェイヤーは自分のマネージメントとEC関連のビジネスを行うために従業員2,000人を抱えた企業のCEOでもあります。この会社は大幅にリストラをするか、それでも持たず解散をするということになると、いくらウェイヤーでも多くの資産をなくすことになるかもしれません。

このような見せしめのようなことが行われるのも、中国の成長スピードがシフトチェンジをしたことを示しています。これから安定成長時代に入り、庶民は思うように給料があがっていかないという不満を持つことになります。一部では長時間労働をしているのに給料があがらないという不満も出始めています。その不満をガス抜きするために、常識外れの高収入を得ている人たちの脱税を厳しく取り締まっているのです。個人の才覚や努力で高収入を得るのはいいことだけど、ルール違反は許されないという政府の姿勢を見せるためです。

今後も、芸能人、網紅、投資家、企業家などの脱税の指摘は続いていくと思われます。

第2位:五菱とテスラが主導するEVシフトが始まる

今年は、五菱の50万円EV「宏光MINI EV」(ホングワン)、テスラの「モデル3」「モデルY」がよく売れ、本格的なEVシフトが始まった年となりました。まだ、統計は出ていませんが、2020年の2倍の売れ行きに到達しそうな勢いです。

宏光MINI EVがいかに考えられて発売された商品かは「vol.095:大ヒットする「宏光MINI EV」の衝撃。なぜ、50万円で車が販売できるのか。その安さの秘密」でご紹介しています。

簡単に振り返ると、

1)通勤用と割り切った商品コンセプト
2)燃料FR車という古い技術を徹底流用
3)EV生産を促進させるNEVクレジット政策を徹底活用
4)コロナ禍により長距離移動を避ける状況で市場に投入

などが成功の要因です。

しかも、発売してみると、通勤車だけでなく、若い女性がカスタマイズをして遊ぶための車として買うという意外な現象が起きました。これも五菱は素早く反応して、パントーンと提携してパステルカラーの「マカロン」シリーズを発売し、春と秋には新色を発表し、化粧品、アパレルなどのメーカーと共同して「五菱少女パーティー」というイベントを開催しています。素早く、市場の反応に対応したあたりも見事な手際だと思います。

テスラは、上海などの経済的余裕のある人の間で売れています。一般庶民の間では五菱、富裕層、準富裕層の間ではテスラが牽引をして、本格的なEVシフトが始まろうとしています。

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