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なぜ韓国大統領選はスキャンダル暴露合戦になるのか。勝てば「三権総取り」ですべて不問に=勝又壽良

南北統一に必要な「二股外交」

文政権が、米韓同盟を結びながら中国との「二股外交」を止められない理由は、南北統一にとって不可欠と見ているからだ。中国は、北朝鮮と韓国が統一する上で促進剤になって欲しい。それが、文政権の願望である。

中国にとっては、朝鮮半島が非共産主義地域になることを最も恐れている。朝鮮半島は、政治的に緩衝地帯であることが最善なのだ。

こうなると、南北統一は「玉虫色」にならざるを得ない。「統一」は不可能であり、現状維持が最善の選択になるほかない。文政権が、国民の意思と離れ、独断で外交政策を進めるのは極めて危険である。

国内の一般世論は、文政権とは異なっている。韓国政府系シンクタンクである統一研究院が、昨年7月に公表した世論調査がある。それによると、「北朝鮮に関心がない」と答えた人が61.0%もいるのだ。2015年の50.8%から増加している。年齢別に見ると、若年層の方が無関心である。文政権の「北偏重外交」は、国民世論からかけ離れていることが分る。

一方、「戦争せず平和に共存できるなら統一は必要ない」という考え方は、56.5%の人が同意した。「あくまでも統一をめざすべきだ」という立場を取ったのは25.4%にすぎない。文政権の南北統一志向が、少数派であることは間違いない。

調査では「互いに往来でき、政治・経済的に協力するなら、一つの国家にならなくても統一とみなせる」という考え方をどう思うかも聞いている。同意したのは63.2%、反対したのは10.7%に過ぎない。

以上のように、文政権が民意から離れた外交政策を行っていることは否定できない事実だ。

それにも関わらず、対北偏重政策を止められない矛盾はどこにあるか。それは、現行の大統領制にすべての原因がある。皇帝的な権力を振り回す、大統領制度の欠陥によるのだ。

それを改革しようという改憲の動きがないのも不思議である。「勝てば官軍」の総取り方式に目が眩んでいるからだろう。

現在、低級な大統領選挙に全精力を注いでいる理由でもあろう。

Next: 民主主義とは決して言えない韓国の大統領制度

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