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天才投資家バフェット、日本の5大商社株で大儲け。なぜ2020年に先回りして買えたのか?「浮ついた」株価に左右されないバリュー投資の妙技=鈴木傾城

資産価値から見て株価が安く放置されていた大手商社

商社のビジネスは非常に多角化されている。

たとえば、「資源のない日本に資源を持ってくる」ことや「大規模なビジネスを国外で展開する」ことや、「国内の有力な企業を買収して付加価値を付けて売却する」等々のビジネスを同時並行で行っている。

商社は日本を代表する「多国籍企業」なのである。しかし、バフェットが投資を決意した背景にあるのは、「資産価値から見て株価が安く放置されていたから」に尽きるのだろう。

PBR(株価純資産倍率)から見ると、2020年の時点で伊藤忠以外が1倍以下だった。PER(株価収益率)で見ても10倍から20倍の間であり、誰がどう見ても安値で放置されているバリュー株だ。

バフェットは世界最強の「バリュー株投資家」であり、常に「安いところで良い企業を長期保有する」というスタンスを崩さない。2020年の大手商社への投資は、まさにその「教科書通りのバリュー投資」であったと言える。

2020年はコロナショックがあったものの、アメリカの株式市場はV字回復してはるか高みに登っていった。ありとあらゆる業界の株式がじゃぶじゃぶになった金融緩和で上がっていき、アメリカの株式市場に投資している人間は、ほぼ全員が株価上昇の恩恵を受けた。

株式を持たない人間は実体経済の悪化に巻き込まれて全員が地獄に突き落とされてもがいているのだが、アメリカの株式に投資していた人々はとっくに損を取り戻してさらに利益まで得て高笑いしていた。

しかしこれは、「良い企業を安い時に大量に買う」というバフェットには株価選択が難しい環境であり、だからこそ安値に放置されていた日本の大手商社に目を付けたのだという動きに見えた。

教科書どおりの「バリュー投資」

バフェットは株式市場の「浮ついた動き」には参加しない。

株価の動きだけを見て売った買ったを繰り返す投機に背を向けて、「良い会社を安い値段で買い長期で保有する」という伝統的なバリュー投資を今じっくりと進めている。

バリュー投資は日本語で「割安株投資」と言われることもある。企業の内在価値を吟味し、企業の価値よりも株価が安いと思う銘柄を選んで投資して価値に見合うまで待つというのがバリュー投資の基本スタンスだ。

この投資スタイルを確率したのが、ウォーレン・バフェットの師匠であるベンジャミン・グレアムだった。

ただ、グレアムとバフェットのスタンスの違いはある。

Next: グレアムとバフェットのスタンスの違いとは何か?

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