米が中国へ「事前警告」
米国は、前記のような事件摘発例もあり、中国に対して「事前警告」をしている。
ロシアが、ウクライナに侵攻した場合に科す制裁措置は、ロシアの組織と取引する中国企業にも影響が及ぶ恐れがあるという内容だ。中国は、ファーウェイ事件で苦汁を舐めさせられたので、ロシアへの経済支援に極めて慎重になっている。
米高官は2月26日、次のように指摘した。中国が、ウクライナ侵攻による金融制裁を回避できるようにロシアを支援しているとは見えないこと。ただ、支援すれば中国に大きなダメージになるとけん制した。『ロイター』が報じたもの。
米高官は発表後、「今のところ、中国がロシア救済に動いている兆候はない」と指摘。中国の一部銀行がロシアからの現物商品購入に信用状発行を停止したとの報道も明るい兆しだと述べた。中国は、米国という「孫悟空」の掌に乗せられている格好だ。
中ロにとって、米国は「共同の敵」
中ロにとって、米国は「共同の敵」である。何もしないで米国の要求に「唯々諾々」と従っているとも思えない。抜け道探しである。具体的には、仮想通貨を使った支援である。
米国で、制裁対象に指定したロシアのズベルバンクやVTB銀行が、仮想通貨取引所やその他の関連プラットフォームと取引すれば、追及される公算が大きい。
米国にはこれまで、マネーロンダリング事件で仮想通貨関連の取り締まりに乗り出した前例がある。中国では、仮想通貨を禁じているので、対ロ取引において仮想通貨を秘かに利用することを許すかどうかという問題は残っている。
中国はまた、制裁で禁じられる取引をロシアと続ける国内の銀行や企業を守るために、ドル決済の扱いが少ない小規模な銀行を活用する可能性も指摘されている。
中国企業は過去にも、米国や国連の制裁で禁じられていたイランや北朝鮮との取引を行ってきた経緯がある。ただ、大規模な取引でなければ、ロシア経済を支えるほどの力にはなるまい。「落ち穂拾い」程度かも知れない。