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台湾侵攻は断念?ロシア制裁の威力に震え上がる習近平、「中立」の仮面を被ってプーチンを捨て駒に=勝又壽良

ウクライナ侵略が続いているが、中国・習近平にロシア支援への動きはなく、中立の位置を守っているように見える。台湾への侵攻を匂わせていた中国だが、もし侵略した場合にどれほどのダメージを受けるのかを、今回のウクライナ紛争から読み取ろうとしているようだ。『勝又壽良の経済時評』勝又壽良)

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※本記事は有料メルマガ『勝又壽良の経済時評』2022年3月3日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にご購読をどうぞ。当月配信済みのバックナンバーもすぐ読めます。

プロフィール:勝又壽良(かつまた ひさよし)
元『週刊東洋経済』編集長。静岡県出身。横浜市立大学商学部卒。経済学博士。1961年4月、東洋経済新報社編集局入社。週刊東洋経済編集長、取締役編集局長、主幹を経て退社。東海大学教養学部教授、教養学部長を歴任して独立。

なぜ習近平は動かない?ロシアと距離を取り始めた中国

ロシア軍のウクライナ侵攻は、正確に言えば「侵略」である。ロシアが、言いがかりをつけて大軍を送り、ウクライナの領土と国民の生命財産を危機に追い込んでいるからだ。

こういう現実が、映像として世界中に流れている以上、中国はロシアを擁護すれば、そのリスクが限りなく大きいことを自覚し始めている。

中国は、ウクライナで「一帯一路」プロジェクトを展開している。また、ウクライナから廃船同様の空母をスクラップ名目で購入、現在の空母「遼寧」に仕上げたように、ウクライナと浅からぬ因縁で結ばれている。

その「恩義ある」ウクライナに対して、支援の手を差し延べずロシア寄りの態度を取ることは、著しく「国格」を貶める行為であろう。

中国は、世界中がロシア非難で沸き返っていることもあり、しだいに立ち位置を変え始めたようだ。

中国の王毅外相は3月1日、ウクライナ外相クレバ氏と電話会談し、ウクライナの民間人に危害が及んでいる事態を「極めて憂慮している」と伝えた。中国外務省は、会談終了後の声明をウェブサイトに掲載。「ウクライナとロシアの間で起きた紛争を非難する」とも表明した。間接的なロシア批判である。『ブルームバーグ』(3月2日付)が伝えた。

中国共産党機関紙『人民日報』系の環球時報は2月28日、この紛争に対する中国の立場は「中立」だと報じていた。このニュースから見れば、中国が世界の情勢変化に少しずつ気配りを始めていることを覗わせている。

欧州一丸となってロシアへ対抗

中国は、今回のロシアによるウクライナ侵攻で、ロシア支援に起ちあがっている国が一国もない事実を知っている。それどころか、北欧のフィンランドとスウェーデンが相次いでウクライナに武器を供与する方針を決めたのだ。すでに、ドイツも過去の規定を改正して、ウクライナへ武器を供与している。

前記の北欧2ヶ国には、紛争地に武器を送らないという長年の方針があった。今回の決定について、両国の首相は「歴史的な決断」と評している。ドイツ首相も同様に「歴史的転換」という言葉を使った。

フィンランド政府は2月28日、ライフル2,500丁と弾丸カートリッジ15万個、対戦車兵器1,500基、食料7万食を送る方針を発表した。同国は紛争地への武器輸出を認めないことを長年の方針としてきたという。マリン首相は会見で、「フィンランドにとって歴史的な決断だ」と述べた。同国政府は発表文で、ウクライナの要請を受け、欧州連合(EU)のいくつかの加盟国が武器や弾薬を送る方針を決めた、と指摘している。

スウェーデン政府も2月27日、対戦車兵器5,000基などの直接支援を発表した。「紛争地に軍備を送ることはスウェーデンの慣例ではない。最後に本格的に実施したのは、1939年にソ連がフィンランドを攻撃した時だ」と説明している。

中国は普段、小国ゆえに「小馬鹿」にしてきた北欧2ヶ国が、強い危機感と憤りを持って、長年守ってきた慣例を破ってまでウクライナ支援に起ちあがっている。

こういう状況を見れば、中国はとても「ロシア支援」と言えるはずがない。「中立」がせいぜいであり、ここからも少しずつ軌道修正を図っているのだ。

Next: ロシア制裁を見てすっかり怯えてしまった習近平

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