テスラのイーロン・マスクがTwitter社の株式を大量取得して筆頭株主になったと報じられたことから、Twitter株は暴騰。イーロン・マスクが買ったからとにかく盲目的に買いについて行くという市場参加者が爆発的に存在することを見せつけています。それにしても、大量投資したご本人がその開示でもっとも儲かってしまうというこのスキーム。実に理不尽と思うのは私だけでしょうか。(『今市的視点 IMAICHI POV』今市太郎)
※本記事は有料メルマガ『今市的視点 IMAICHI POV』2022年4月10日号の抜粋です。興味を持たれた方は、ぜひこの機会にバックナンバー含め初月分無料のお試し購読をどうぞ。
ツイッターへの不満をぶちまけたイーロン・マスク
テスラのイーロン・マスクは今年3月後半、「新しいソーシャルメディアプラットフォームの創設を真剣に考える」などとツイートし、既存のツイッター上で自由な発言が許されないことを厳しく批判しました。
「ツイッターが事実上の公共広場の役割を果たしていることを考えれば、言論の自由の原則が守られないことは、民主主義を根底から揺るがしている。何をすべきか?」という主旨の発言もしています。
このようにツイッターを強烈批判したことから、ドナルド・トランプと同様に、自ら新しいSNSを立ち上げるのではないかとの憶測も飛び交っていました。
ところが、イーロン・マスクがSEC(米国証券取引委員会)に対し、大量保有報告書を提出した事がニュースになって事態は激変します。
突然ツイッターの大株主示現で市場はびっくり仰天、即座にツイッター株を追随買いへ
4月5日にSECから開示された大量保有報告書によれば、今年の1月末からツイッター株の底値で株を徐々に買い集め始め、3月14日にはすでに5%を取得。最終的に9.2%の保有となり、ご本人もそれを正式に表明しています。
これによりイーロン・マスクはツイッター社の筆頭株主に躍り出ました。
ツイッター社は、これ以上イーロン・マスクを野放しにしておくことは危険と察知したのか、とうとうマスク氏を取締役に指名。任期は2024年の年次株主総会まで、としています(※編注:原稿執筆時点2022年4月10日。最新の報道では、イーロン・マスク氏がTwitter社の取締役就任を辞退したと報じられています)。
SEC提出文書によれば、任期中および期終了後90日間は、マスク氏が個人もしくはグループの一員として14.9%を超えるツイッターの普通株式を保有しないことが合意されていますから、ここからさらに買い増しは期待できないようです。とはいえ、筆頭株主のゆるぎない地位がほんの数日で実現してしまったことになります。
後追いの報道では、本来10日以内にSECに提出すべき大量保有報告書の提出が、4月4日に遅れたことも明らかになっています。
さらに当初サイレントパートナーであるスケジュール13Gフォーマットを、アクティビストのスケジュール13Dで再提出したようで、今後、SECから厳しい追及がありそうな状況にもなっています。