小池都知事が都内の新築戸建て・小型ビルの屋根に太陽光発電設備の「設置義務付け」を検討していると発言したことが波紋を呼んでいる。都議会本会議では着々と条例制定に向けて議論・検討が進んでいるが、実現すれば“世紀の愚策”となるだろう。(『元証券会社社長・澤田聖陽が教える「投資に勝つニュースの読み方」』澤田聖陽)
※本記事は有料メルマガ『元証券会社社長・澤田聖陽が教える「投資に勝つニュースの読み方」』2022年4月12日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。
投資に勝つにはまず第一に情報分析。「投資に勝つ」という視点から日常のニュースをどのように読むべきかを、この記事の著者で、元証券会社社長で現在も投資の現場の最前線にいる澤田聖陽氏が解説します。視聴方法はこちらから。
太陽化発電「義務化」は世紀の愚策
昨年末、小池都知事は都議会本会議で、一定規模の住宅供給事業者に対し、新築の戸建て住宅や小型ビルに太陽光発電設備の設置を義務付ける制度の創設を検討していると発言したことが波紋を呼んだ。
※参考:戸建てに太陽光発電義務化を 東京都が条例制定目指す、小池知事「ゼロエミッション東京の実現」- 東京新聞(2022年1月3日配信)
個人に設置義務を求めるのではなく、住宅メーカーなどの供給者側に設置を求めるかたちを考えているようである。
※参考:新築住宅に太陽光パネル メーカー義務化、条例改正へ―東京都 – 時事ドットコム(2022年4月9日配信)
結論から申し上げると、この政策が仮に実現すれば、世紀の愚策になると考えている。
影響範囲はどれくらい?
まず、東京都での過去3年間の「新築住宅着工戸数」の推移を見てみたい。
2021年:総戸数134,079戸
2020年:総戸数131,614戸
2019年:総戸数139,015戸
直近2021年の内訳は、以下のとおりである。
■利用関係別
持家:16,975戸
貸家:67,248戸
分譲住宅:49,043戸
(分譲住宅のうち、マンション31,221戸、一戸建て17,389戸)
■地域別
都心3区:6,423戸
都心10区:35,899戸
区部全体:106,457戸
市部:27.230戸
東京都限定での戸建て住宅の市場規模の正確なデータはないが、兆円単位の市場規模があるマーケットであることは間違いない。
小池都知事が考えている政策が実現すると、以下の3点でデメリットが大きいと考えている。