誇張された「50年ぶりの円安論」
今の円ドルは、購買力平価からすれば、ニクソンショックの1971年時代に相当するという「50年来の実質円安論」が横行している。これが日本の衰退の象徴のように語られる。
これは「相場追認型円安論」と筆者は言う。確かに日本の相対的地位は低下し、30年前は日本のGDPは世界のGDPの18%を占めていたが、今は6%に過ぎない。30年前は一人当たりのGDPが世界で2位か3位だったが、今は23位になってしまった。30年前、一人当たりGDPは韓国の2倍~3倍あったが、今は韓国よりも下になってしまった。だから日本の相対的地位が低下していることは事実である。
しかし、今の円安は米金利上昇に伴う一つの循環現象だと筆者は思う。筆者のパートナーの石原健一が示したマネタリーベースの円ドルの比率と、円ドル相場とは、プラザ合意以降はほぼパラレルだ。「50年ぶりの円安論」は誇張が大きすぎる。相場追認型はだいたい全てが誇張される。
民主党時代に円ドル相場が70円台後半だった。その頃、同志社大学の浜矩子は「円は50円になる」と言っていた。また、筆者が信用していない副島隆彦氏は「50円どころか10円になることもあり得る」と自分の著書に書いている。相場追認型のバカバカしい議論の代表として、筆者はその本を今でも保管してある。
株でも、円ドル相場でも、相場追認型で語る者を筆者はまんざら信用していないわけでもなく、勉強のためにその話しは聞くが、話し半分に聞いておくのがよい。
<山崎和邦の投機の流儀 vol.522 6/5号>
■ 第1部:当面の市況
(1)週明けの市況
(2)5月の国内市況は、このように終わった。
1:個人投資家動向 2:自社株買いの動きが急増 3:海外債券動向
(3)5月末~6月3日までの週末
(4)コロナ禍への対応、緩和マネー、約26兆円を吸収する。
(5)QT(量的引き締め)に構える市場
(6)東証プライム市場の売買低調、5週ぶりの低水準
(7)目先的には3月高値の28,252円、次に200日線だが、あまり細部は見ないで大局を見る方がいいと思う。
(8)日経平均は強まり、アメリカが安い間に日柄整理が進んだ。
(9)米利上げと株式相場について考える。
(10)内閣支持率66%、発足後で最高
■ 第2部:中長期の見方
(1)日経平均、高値更新する可能性はあるのか?
(4)米FRB、引き締め倍速、この先はどうなる?
(5)日本の貿易の24%を占める中国(対米比率よりもずうっと大きい)の成長率の下げが相次ぐ。
(6)中国共産党組織の日本への侵攻があれば、日本国を守れるか?
(7)ウクライナに関するロシアと旧ソ連について
(8)ロシア・ウクライナ戦について
(9)米のアジア関与は日本に重責がかかる。
(10)結党以来の「党是」たる改憲を出すか?
(11)トルコの金融政策難航
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※本記事は有料メルマガ『山崎和邦 週報『投機の流儀』』2022年6月5日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会に今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。
『山崎和邦 週報『投機の流儀』』(2022年6月5日号)より一部抜粋
※タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による
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大学院教授(金融論、日本経済特殊講義)は世を忍ぶ仮の姿。その実態は投資歴54年の現役投資家。前半は野村證券で投資家の資金運用。後半は、自己資金で金融資産を構築。さらに、現在は現役投資家、かつ「研究者」として大学院で講義。2007年7月24日「日本株は大天井」、2009年3月14日「買い方にとっては絶好のバーゲンセールになる」と予言。日経平均株価を18000円でピークと予想し、7000円で買い戻せと、見通すことができた秘密は? その答えは、このメルマガ「投機の流儀」を読めば分かります。