防衛費倍増なら日本の安全保障は本当に確実になるのか?
今回それに日本も防衛予算倍増で参加することの言質が取れたわけですから、バイデンにとってはそれだけでも訪日した甲斐があったといえるのでしょう。
しかし防衛予算を闇雲に倍増しただけで、本当にこの国の安全保障は守られるのでしょうか。
戦後77年近く、正式に軍隊を持たず限られた防衛予算の下で、むしろ外交手段を活用することで国への侵略や戦闘といったものを免れてきたこの国の経験と実績を一気に払拭し、軍拡に向うことで逆に戦闘の対象国と認識されることのほうがリスクが高まる……と思うのは常軌を逸した発想なのでしょうか。
そもそも教育予算の話になると、「財政状況を勘案しながら増加できるかどうかを考える」と非常に慎重な答弁を国会で繰り返す岸田総理が、防衛予算の話になると、ほぼ独断で総額をバイデンに約束するというのは、あまりにも歪んだ政策です。
防衛というよりは、米国を兵器売買で利するだけのようにしか見えないところに大きな問題を感じます。
日本は「米国のATM」。軍備増強の原資がない以上、まさかの消費税増税で対応か?
今回の軍備の急激な増強でもっとも気になるのは、その原資がどこにもないということです。
100兆円前後の年間国家予算でGDP2%ともなれば10兆円を超える防衛予算となることから、年間ベースで5兆円や6兆円の不足を補う必要がでてくるわけです。
7月の参議院選挙で自民・公明が圧勝すれば、否応なく増税でその原資を捻出するのではないかという不安が高まります。
巷では消費税率13%に拡大して対応するのではないかといった不気味な話も聴こえてくるところで、とうとう日本国民はバイデン政権の軍事ビジネスのATMとして利用されるリスクが高まることになります。
そもそも社会保障充実のために導入されたはずの消費税は、その7割が法人税減税と高額所得者減税の穴埋めに使われているに過ぎません。
それをさらに軍拡の資金捻出、とりわけ米国からの兵器購入資金として利用されたのでは、たまったものではありません。
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