雇い主や日本人同僚からのパワハラ、セクハラ、暴力も日常的
さらに、雇い主や日本人同僚からの罵倒やパワハラ、日常的な暴力も頻発しており、中には雇い主からの性暴力まであるのです。
妊娠が発覚すると帰国させられるので、こっそり産んだ赤ちゃんを殺して土中に埋め、逮捕された女性実習生もいました。
こうした劣悪な労働条件ですから、失踪する実習生の数も半端ではありません。
失踪すると、在留資格がなくなるため、即「不法残留者」となります。2020年1月の日本の不法残留者数は8万2,892人ですが、うち技能実習生の不法残留者数は1万3,079人にのぼります。
ちなみに技能実習生の失踪者数は2019年に8,796人でした。劣悪労働環境で、転職の自由もなければ、こうなるのも必然でしょう。
2020年以降は、コロナ禍で帰国便もなくなる中、倒産した中小・零細事業者や、実習生を解雇するところが続出しました
労基法違反は約7割、トンデモ事例のオンパレード
生活に困窮する外国人技能実習生は、再雇用の場も容易に見つけられないため、失踪する事例を激増させたのです。
住居を追われ、路上で虫や草を食べる生活レベルまで困窮した元実習生は、仲間とともに養豚場の豚を盗んだり、自分のパスポートを担保に犯罪組織から金を借り、そのパスポートが悪用されて携帯電話契約が成され、数百万円の物品詐取に使われたりしています。
困窮した元実習生は、個人情報もへったくれもない状況におかれたからゆえに、パスポートでさえ売り渡します。セーフティネットもなく、民間へ丸投げの外国人技能実習制度は、「犯罪誘発制度」といっても過言でないのです。
ともかく、外国人技能実習生を受け入れる中小・零細事業者は、まさしくやりたい放題なのです。
「建設作業」で受け入れておいて放射能汚染地域の除染作業をさせたり、時給400円で残業代は全てカットとしたうえに、過労死ラインの月80時間を超える残業を強いていた事例もあるのです。
働かせている時には、パスポートを取り上げたり、逃げないように外出禁止にしたり、スマホやパソコンを取り上げて、横の連絡を取れなくさせる事業所まであるほどです。まさしく奴隷扱いなのです。
厚労省は2020年に外国人技能実習生などからの相談や通報を受け、労働基準監督署によって全国8124事業所への立ち入り調査を実施しています。
その結果、職場の安全管理義務違反や労基法違反などの事業所が、全体の70.8%に及んだと発表したのですから驚かされます。
安全義務違反が1974事業所(24.3%)、違法な時間外労働が1,275事業所(15.7%)、残業代の未払いだけでも1,261事業所(15.5%)もあったのです。重大な人権侵害事例のオンパレードだったのです。
安全ベルトも装着させずに危険な高所作業を強いたり、金属加工業務で防塵マスクを付けさせないなど、トンデモ事例のてんこ盛りだったのです。