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次の標的は習近平?ペロシ米下院議長“強行”台湾訪問で見えたバイデン政権の中国弱体化シナリオ。自衛隊も作戦計画に組み込みか=高島康司

ナンシー・ペロシ米下院議長が台湾を訪問した。中国は軍事演習などで激しく反応しているが、これはバイデン政権が中国を追い詰める方向に大きく舵を切った可能性を示唆している。(『未来を見る! 『ヤスの備忘録』連動メルマガ』高島康司)

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中国の猛反発を受けたペロシ下院議長「台湾訪問」

8月2日夜、ペロシ下院議長は台湾に到着。翌3日には台北で蔡英文総統と会談を行った。

ペロシ下院議長は大統領権限を継承する順位が副大統領に次ぐ2位の要職で、アメリカの現職の下院議長が台湾を訪問するのは1997年のギングリッチ以来25年ぶりとなる。

一方、台湾は中国の一部だとする中国政府は、ペロシ議長の台湾訪問計画がイギリスの新聞フィナンシャル・タイムズで7月中旬に報じられた直後から、「断固反対する。訪問すれば強力な措置をとる」などと繰り返し表明していた。

ペロシ下院議長の台湾訪問を受けて、中国外務省は声明を発表し「ペロシ議長は中国の強烈な反対と厳正な申し入れにもかかわらず台湾を訪問し「1つの中国」の原則に著しく違反し、両国関係の政治的な基礎に深刻なダメージを与えた。中国は断固反対するとともに厳重に非難する」と激しく反発した。

そして、3日未明、台湾本島の南西沖に設定している防空識別圏に、中国軍機のべ21機が進入した。それは、殲16戦闘機のべ10機、殲11戦闘機のべ8機などだった。

また2日には、総統府のサイトが、大量のデータを送りつけてシステムをダウンさせようとする「DDoS(ディードス)攻撃」と呼ばれるサイバー攻撃を受けた。攻撃は台湾域外から行われ、攻撃のデータ量は通常の200倍にのぼり、サイトの表示が一時できなくなったが、およそ20分後に復旧した。

さらに3日、中国は台湾の需要の9割が依存し、建築材として使われる天然砂の台湾への輸出を禁止した。これは台湾の建設業に大きな痛手となる。

中国の軍事演習と米海軍の展開

このように、ホワイトハウスの警告をも無視された格好で実施されたペロシ下院議長の台湾訪問に中国はこれまでにないくらいに反発し、下手をすると武力衝突すらも懸念される状況だった。不測の有事の事態である。

しかし、中国政府は武力衝突する意思はなく、大規模な軍事演習の実施で不満を表明するようだ。

ペロシ下院議長が台湾に到着した2日夜、中国軍で東シナ海を所管する東部戦区は台湾周辺で軍事演習を開始すると発表した。台湾の北部や南西部、それに南東部の空と海上で軍事演習を行うほか、台湾海峡でも長距離の実弾射撃などを行うとしている。演習は台湾を囲むようにしたあわせて6か所の海域や空域で実施し、実弾での射撃なども行う予定だ(編注:原稿執筆時点2022年8月4日。中国は実際に軍事演習を行い、ペロシ氏の台湾訪問に対する抗議を続けています)。

一方米軍は、空母レーガン打撃群をバスティーユ海峡東部海域に配備し、集中的に航空機の着陸作戦を行なっている。さらに、沖縄海域にも関連艦艇を配備して待機している。

また、台湾軍の動きも活発だ。中国による軍事挑発の可能性に対応するため、軍は2日から4日正午までの3日間、「強化即応指導期間」に入った。空軍の台東基地に8機のミラージュ戦闘機を追加配備した。これまで台東基地には4機のミラージュ戦闘機が配備されていたが、中国軍に対応し、東部空域の安全維持のために8機が追加配備され、合計12機にした。これで、関連海域をパトロールする海軍艦艇の密度を高める計画だ。

Next: 台湾有事は起こるのか?自衛隊も作戦計画に入っている…

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