自衛隊も作戦計画に入っている
このように、南シナ海と台湾付近の海域で中国軍と米軍の空母部隊が睨み合う状況なので、予想外の軍事衝突の可能性もあるとして警戒されている。
米中の専門家は中国軍は軍事演習の実施だけで、武力衝突の可能性はほとんどないとしている。だがアメリカは、台湾海峡で有事が発生した際の計画はすでに準備しており、それが中国側から明らかになっている。
2日、北京に本拠を置く軍事専門のシンクタンク、「南シナ海戦略情勢啓発」は、空母レーガン打撃群がバスティーユ海峡の東側海域におり、レーガンの動きを監視していると述べた。この監視の結果、同シンクタンクは、台湾の東太平洋海域は米軍と日本軍が担当し、台湾海峡の西側は国民軍が担当するはずであると米軍の計画を推測した。
つまり、台湾海峡を東西の2つのエリアに分け、中国との戦争では米軍と自衛隊が東側を、台湾軍が西側を担当するということだ。
このシンクタンクの推測が正しいとすると、台湾有事で中国軍との戦闘状態になった場合、すでに自衛隊も米軍の作戦行動に組み込まれ、戦闘に参加することになっている。
もしそうだとすると、危機は台湾にだけ止まることはないだろう。中国との戦争の規模にもよるだろうが、小競り合いの範囲を越えて、本格的な戦争になるような場合、日本国内の米軍基地が真っ先に中国軍の攻撃対象になるだろう。
いまは考えられないかもしれないが、最悪なケースではこのような状況も想定しておいた方がよい。留意しなければならない。
ペロシ下院議長台湾訪問のタイミング
このような最悪なケースも考えられるだろうが、少なくとも今回のペロシ下院議長の台湾訪問では、こうした状況になることはまずない。
米中両国とも武力衝突は望んでいないので、両者とも軍事力の誇示に止まるはずだ。これはこれまで何度も起きていることだ。
しかし、それにしても、なぜペロシ下院議長は中国が過去に前例がないほど強く反発しているときに、あえて台湾訪問を強行したのだろうか? バイデン政権は議長の台湾訪問には反対していたとしているが、それは本当なのだろうか? むしろ今回の台湾訪問は、中国を挑発して追い込む規模の大きな戦略の一部なのではないだろうか?
少なくとも筆者にはそのような疑念がある。ホワイトハウスの声明をそのまま信じるわけには行かない。