“ジブリの呪い”を解き明かす
地上波で映画が放映される主要枠は「金曜ロードショー」一択となって久しい。
米国の重要経済指標である雇用統計が、毎月第1金曜日に発表される。
雇用統計のタイミングとジブリ作品放送日が重なることが結構な頻度であり、その時に為替や株価が動くというのがジブリの呪いの本質だ。
実際のところ2010年から2022年5月までに、ジブリ作品が放送された回数は80回。そのうち為替が円高に振れたのは40回なので実は均衡している。
ただ2010年以降、雇用統計発表日とジブリ作品放送日と重なっていた回数が27回あり、そのうち19回は円高に振れていることから確率が約70%となり、何となく相関があるように見える。
特に2010年から3年間に限定すると、ジブリ作品放送が24回、そのうち3分の2で為替が円高へ動き、半数は翌営業日株価が下落している。
その間雇用統計発表と重なった回数に限定すると90%の確率で円高に進んでいたと調査されている。
もちろん円高に動いた期間の取り方によっては、このアノマリーを成立させるためこじつけている感も否めないが、アノマリーとして頭の片隅に置いておくには十分だ。
アノマリーとは何か?
投資初心者の読者のために、そもそもアノマリーとは何かについて簡単に説明しておこう。
アノマリー(Anomaly)とはモダンポートフォリオ理論や相場理論では説明することはできない株価の規則性、つまり根拠がないのに、よく似た株価の動きを引き起こす経験則のことを意味する。
モダンポートフォリオ理論とは、投資の考え方を理論的に表現したもので、相場を博打的なものから数学的なものに昇華させた考え方。期待収益率はリスク・リターンのトレードオフの関係で決まり、分散投資によるリスク低減メリットを理論化したもの。ハリー・マーコウィッツが1952年に発表し、1990年にはノーベル経済学賞を受賞した歴史ある理論。
何でもかんでもこの通りにいくわけないじゃん!
そこに何となくの、いわゆる過去の経験則に基づいた根拠のない規則性を求めたのがアノマリーである。
市場参加者はこういったマーケットのアノマリーが大好きだ。
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