東京オリンピック・パラリンピックのスポンサー選定を巡る汚職事件で、AOKIホールディングスの青木拡憲前会長にくわえ、同社元代表取締役副会長、専務執行役員が、贈賄の容疑で東京地方検察庁に逮捕された。
報道によるとAOKIホールディングスは、2018年に大会組織委員会とスポンサー契約を締結。審判や技術役員用のユニフォームの製作、公式ライセンス商品の販売権などを獲得したが、これらの契約に関して、青木前会長はすでに逮捕された東京五輪・パラリンピック組織委員会の高橋治之元理事に対し、便宜を図ってほしいと依頼。その見返りとして高橋元理事側に、約5100万円を振り込んだとされている。
逮捕を受けてAOKIホールディングスは、公式サイト上に謝罪する声明を発表。「当社は、これまで東京地方検察庁による捜査に協力してまいりましたところ、本件事態を厳粛に受け止めており、引き続き、当局の捜査に全面的に協力してまいります」としている。
組織委に支払うスポンサー料も格安に?
東京2020の開催からちょうど1年というこのタイミングで、関係者の逮捕という事態にまで至ってしまった、平和の祭典を巡る汚職疑惑。
ただ、AOKI側と組織委の高橋元理事との癒着に関しては、今回取沙汰されている件だけでない模様である。
というのも、東京五輪の「オフィシャルサポーター」だったAOKIホールディングスだが、このカテゴリーの企業が組織委へと支払うスポンサー料は、約15億円が基準だったのに対し、実際には5億円しか支払われていないとのこと。どうやら、これも組織委元理事が便宜を図ったのではと噂されているのだ。
振り返れば、早くも招致の段階でJOCの竹田恒和会長(当時)が贈賄の疑惑をかけられ、さらに大会の運営スタッフに関しても、日当がかなりの高額に設定され、いわゆる中抜きをしているのではという話が持ち上がるなど、とにかく金まみれ、利権まみれだという話題が尽きなかった先の東京五輪。
それだけに今回の逮捕劇に対しては、憤る声もさることながら「さもありなん…」といった呆れる様子の反応も多数といったところなのだが、こういう展開となれば当然のように取沙汰されるのが、あの元パソナの竹中平蔵氏もいよいよ逮捕されるのではないかという見方だ。
やっと元電通の高橋逮捕!
ここから、竹中、菅、森へと頼むぞ
なんなら、被疑者死亡のまま何ちゃらでも構わんが。— 水鳥1号 (@m1P5wJuKegspGSE) August 17, 2022
#電通#パソナ
いよいよ面白くなってきたね。政治家関係者から電通の高橋とパソナ竹中が逮捕されるかもと情報入りました。さあ工作員のみなさま貴方達が尊敬する偉大な権力者が捕まるよ— smilepeopleinjapan (@smilepeopleinj1) August 14, 2022
昨日、誰か高橋さんと竹中さんが逮捕されそうって政府関係者から聞いたってツイート見たけど、高橋さん逮捕されたんですね。竹中さんはどうなんでしょうかね。
— ふな子 (@sennen9) August 17, 2022
安倍元総理の死で五輪関連疑惑の捜査が進展か
国絡みの何らかの事業が発生するところに、必ず名を連ねているといっても過言ではない人材派遣大手のパソナグループ。先にあげた運営スタッフにまつわる中抜きの件にも関わっているとされるなど、五輪利権にもしっかりと食い込んでいたというのはいわば公然の事実。
とはいえ五輪関係の疑惑は、深掘りしていくと安倍元総理にたどり着く可能性が大とあり、以前までは検察側も迂闊には手を出せないとされていたのだが、その黒幕も今や不在に。今回のAOKIや高橋組織委元理事絡みの疑惑も、安倍元総理の死によって俄かに捜査が進展したといわれるだけに、であれば竹中氏も同様に……という流れも大いに考えられるところだろう。
そんな竹中氏だが、長らく務めていたパソナグループ会長職を今年8月で退任し、さらにオリックスの取締役退任も4月に発表するなど、いわゆる“政商”としての立場からは一歩身を退いた状態。
これからは一介の経済学者、あるいは近年肝いりのユーチューバーとしての活動がメインとなりそうな竹中氏だが、最近ではいわゆる“無敵の人”への一種の懐柔策として、かねてから主張するベーシック・インカムが有効であることを、自身のチャンネル動画や出演番組などで力説するといった場面も。
長らく政権の中枢にあって、時の政治に大いなる影響力を及ぼした竹中氏だが、今後は“失われた30年”を恨む無敵の人による凶弾・凶刃にくわえて、伸びる司直の手というダブルの恐怖に怯える日々となるのは間違いなさそうだ。
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