トヨタ自動車は1日、東京・銀座のクラブでホステスの胸を触るなどのセクハラを行っていたと取沙汰されている俳優の香川照之さんに関して、出演する自社CMを年内の契約満了をもって更新しない方針を決めたと明らかにした。
報道によると、今後流される予定だった出演CMのほうも、放映を見合わせるとのこと。トヨタ自動車側は「示談が済んでいると聞いているが、されたことは事実。世間の皆様の反応を見ても全く理解されることではない。いろいろなことを考えて決めた」と説明しているという。
トヨタ自動車は、今回の香川さんの不祥事が報じられた直後の先月26日に、コメントで「社会的に許されざる行為」と批判していたものの、今後のCM出演については「今後を注視する」と回答するにとどめ、現時点での降板を否定していた。
納期遅れ問題で苦境のトヨタにとって弱り目に祟り目に
トヨタが展開するオウンドメディアである「トヨタイムズ」の編集長役として、長らく同社のCMに出演していた香川さん。
トヨタイムズのCMでは水素エンジンやBEVなどといった、トヨタ自動車のなかでも肝入りといった事業の開発現場が度々取り上げられたことも。いうなれば、単に製品のイメージキャラクターに留まらず、トヨタという企業の顔としての役割をも担っていたとあって、さすがにそれをスキャンダルまみれの人物に続けさせることはできなかったようだ。
もっとも、SNS上でトヨタイムズCMの評判をみてみると「香川さんのテンションが高くて苦手」「何度見てもウェブサイトに行こうと思ったことがない」「香川もそうだが豊田社長の偉そうなのが鼻につく」などと、その評判は今ひとつといった印象。CMの打ち切りを残念がる声は少数派といったところのようだ。
トヨタイムズのCM、香川さんのテンションが高くて苦手だったのと、ああいう形で社長が全面に出てくるのにも違和感があり、好きなCMではありませんでした。
まあ、今はほとんど地上波のテレビを見ていないので、見る機会もないんですが。 https://t.co/85vAHqFpF3
— 川崎市民나우🏳️🌈💜・神奈川19区? (@honeyjonghyun) September 1, 2022
でもトヨタイムズのCMって何度見てもウエブサイトに行こうと思ったことがない。車への興味ありなしとか香川どうこうというより、会社で仕事してる気分にさせられる雰囲気が実に微妙。
— 涼子@アプリ婚活 (@ryoko__xyz) September 1, 2022
トヨタイムズのCMは香川もそうだが、豊田社長の偉そうなのが鼻についていたから中止大歓迎。水素も電気も本気とか嘘ばっかり。だったら水素と電気の充電設備を充実させるのが先だろって話。#Yahooニュースhttps://t.co/BO4V8dImHv
— Change the world ! (@tsuboyakisazae) September 1, 2022
トヨタに限らず最近の自動車業界は、コロナ感染の拡大にくわえて世界的な半導体不足により生産に遅れが生じており、新車の納期遅延が大きな問題となっているところ。とくに扱う車種が多いトヨタでは、その影響はより深刻のようで、アクア、ヴォクシー、ノアなどが、注文からの工場出荷時期が半年以上かかるとアナウンスされているほか、ユーザーからの受注を止む無く停止している車種も多い模様だ。
今年7月にフルモデルチェンジが発表され、車内でも久々の明るい話題とされていた新型クラウンの販売も、同様に出荷遅れによって出鼻を挫かれる格好となっているようで、そんな苦境の最中でのトヨタイムズCMの放映中止は、トヨタにとってはまさに弱り目に祟り目といった状況といえそうだ。
『昆虫すごいぜ!』でも垣間見えたパワハラ気質
今回明らかになった香川照之さんのトヨタCM降板だが、その直後にはTBSも朝の情報番組『THE TIME,』から香川さんが降板すると発表。番組内で謝罪をした後も出演が続いていたものの、大スポンサーであるトヨタが香川さんの降板を決めたとなれば、テレビ局側としてもそのような判断を下さざるを得なかったといったところだろう。
香川さんが出演していた他のCMでは、アリナミン製薬の「アリナミン」もCM動画が1日までに同社ホームページから削除されており、同様にCM出演中のサントリーやキンチョーも同様の対応を取るのは時間の問題ではと囁かれるなか、その動向が大いに取沙汰されていたのが、NHK・Eテレ『香川照之の昆虫すごいぜ!』の今後だ。
「Eテレで昆虫番組をやりたい」という直訴がきっかけに始まり、先述の情報番組での司会とともに香川さんの芸能活動の幅広さを示す番組でもあった『昆虫すごいぜ!』。
香川さんのスキャンダルが報じられるなかでも、これだけは好きだからとという声も多かった同番組だが、いっぽうで一部の視聴者からは「番組スタッフに対して当たり強すぎないか」「スタッフがカブトムシの幼虫を先に掘り当てた場面で怒った時の目が笑ってなかった」などと、今回の一連の報道でも取沙汰されているパワハラ気質なところも時に垣間見えていたとの声も、ここに来てあがっているところだ。
今だから言うが「昆虫すごいぜ」のタガメとカブトムシの回で香川照之の番組スタッフへのパワハラを感じた。
自分で見惚れて逃げられたタガメを見つかるまで延々とロケ続けたり、スタッフがカブトムシの幼虫を先に掘り当てた場面で怒った時の目が笑ってなかった。
今回の事件で、やっぱりと感じた。
— YN1230 〜 ♂💉×4 MMPM (@yyqq66) September 1, 2022
NHK『昆虫すごいぜ!』観てたとき、番組スタッフに対して当たり強すぎないかなとは思っていた。演者に対してならまだわからんではないが。
— ただの釣り好き (@tsurishiJ) September 1, 2022
公共放送のためスポンサーへの忖度こそないものの、例えばうたのおねえさんらには恋愛NGなどの行動制限を強いるように、出演者に対して品行方正ぶりを殊更求めるNHK。それだけに、今回の香川さんのスキャンダルは看過できなかったのか、こちらも1日に行われたNHK会長による定例会見で、『昆虫すごいぜ!』に関して今後の放送は予定されていないと公表。
会長は今回のスキャンダルについて「あってはならないことだと考えている」とコメントするなど、かなりお怒りのご様子で、番組ファンにとってはとても残念だが、このまま打ち切りになるのは避けられない情勢。まさにトヨタによる今回の“決断”を呼び水に、他のスポンサーや各テレビ局による“香川おろし”が、一気に加速する格好となったようだ。
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