新型コロナなど感染症の流行時に、ホテルや旅館がマスクを着用しない客の宿泊を拒否できるようになる「旅館業法」の改正案が、10月に召集される見通しの臨時国会で政府によって提出される予定だと報じられている。
現行法では、ホテルや旅館の事業者は利用者の宿泊を拒んではならないとしているようだが、政府の改正案では、事業者は宿泊客に対し感染防止対策に協力するよう要請できると明記されているといい、障害でマスク着用が困難な場合など、正当な理由がなく応じない場合は、事業者は宿泊を拒めるという。
さらに発熱などの症状がある客に対しても、新型コロナなどに感染していないかどうか、事業者側が報告を求められるようにするといい、正当な理由なく報告要請に応じない場合や、感染が確認された場合も宿泊を拒めるとのこと。
仮に今回の旅館業法改正案が施行された場合、現在の感染状況程度でも適用対象となると、厚労省の関係者は話しているという。
続発するマスクトラブルの芽を摘む目的?
コロナ禍となってから相次いで起こっているマスク着用・非着用を巡るトラブル。つい最近では、静岡県や神奈川県の一部でバス事業を行う伊豆箱根バスで、マスク着用に応じなかった乗客を途中で降車させるという事案も発生している。
道路運送法では、泥酔した客や不潔な服装をした客に関しては、バスなどの乗車を拒むことはできるとしているものの、マスクに関しての規定はないとのこと。よって地元運輸局は同社に対して、バス2台を各25日間の使用停止とする行政処分を下すという決着となった。
いっぽうで宿泊施設でのマスクトラブルといえば、2020年11月には長野県内にあるホテルのバイキング会場で、マスク着用を巡ってホテル側と客が押し問答となり、約10人の警察官が駆けつける騒動となったことが、大いに報じられたことも。その客は過去にも航空機内でノーマスクを主張し、強制退去させられたといういわくつきの人物だったようだが、この際は散々に揉めた挙句、朝食代金1100円の返金で退場したという。
航空機の場合は、航空法における安全阻害行為等を禁止する項目、または航空会社の約款によって、マスク着用を拒否する客が搭乗を拒否されることがあるようだが、先の道路運送法と同様に旅館業法においては、マスク着用に関しての規定はこれまで特になかった模様。
そのため、先述のように宿泊施設でマスクの着用を巡って揉めるケースは多々あったようだが、そのいっぽうでここに来て観光需要喚起策である「全国旅行支援」がスタートするのにくわえ、水際対策も大幅に緩和して訪日客を大いに呼び込もうという流れに。
政府としても、それらの動きが活発化するのとあわせて、マスクに関しての規定を定めておくことで、そういったトラブルの芽を摘んでおこうというのが、今回の旅館業法改正の狙いのようである。
今やマスクに固執するのは日本と北朝鮮のみ?
とはいえ、今回のこの動きに対しては、上記のようなトラブルが起きていることを鑑みて理解する声もあるいっぽうで、日頃からノーマスクを主張する向きからは「不当な差別だ」との猛反発も多くあがる事態に。
世界がコロナ終わりに向かっている中、日本だけまた逆行。しかもこれ、明確な差別でしょ。差別を許容させる法案。法曹界、これ看過するつもりですか。
マスク着用しない客の宿泊拒否が可能に…旅館業法改正案の全容判明(読売新聞オンライン) – Yahoo!ニュース https://t.co/Ys8zF2nndi
— 倉田真由美 (@kuratamagohan) September 21, 2022
ふざけるな!海外はもうマスクしていないのに、岸田政権は余計なことするな!差別行為、人権侵害だ!怒!
マスク着用しない客の宿泊拒否が可能に…旅館業法改正案https://t.co/fmuWMMa4RR
— ポイズン (@haitatu1234567) September 20, 2022
【ノーマスクの客の宿泊拒否を許すな!】
ノーマスクの客の宿泊拒否できるようする旅館業法改正案の提出が予定されている。
マスク着用が感染症対策になる正当な根拠はどこにもないのにこんな法律を作ろうとしている。
マスク未着用者への不当差別に他ならないのである。https://t.co/qFWhlVaNM2
— サテライトTV 大森道雄 (@sate_tv) September 20, 2022
日本でも最近では、屋外では条件次第でマスクを外して良いと厚労省が呼びかけるなど、脱マスクの動きは多少は見られるところ。ただ海外においては、北朝鮮で10月から全国民にマスク着用を義務づける方針となったという例外は置いとき、多くの国でマスク着用義務が撤廃されているなど、脱マスクが相当に進んでいる状況。
さらに、先日のイギリス・エリザベス女王の国葬においては、天皇皇后両陛下がマスクを付けずに参列されたお姿も報じられたばかりだ。
こういった海外の状況や陛下もマスクを外しているという事実などを、まさに“錦の御旗”としたノーマスクを訴える声が日々大きくなるなかで、政府がそんなノーマスクの客を拒む趣旨の法令を作ろうとしているとなれば、それに対し猛反発があがるのも、当然の展開といったところ。
さらに、先述の通り今後はインバウンドを再び呼び込もうという流れのなかで、そういった海外の客に“マスク着用”の趣旨が、果たして理解されるものなのかという声も多い。
報道によれば、政府は事業者と外国人宿泊客の間でトラブルとなるのを防ぐため、改正後の法律などを解説した手引を作成する方針だというが、SNS上でも多くの指摘があがるように、法改正後のトラブル続出は避けられなさそうというのが、大方の見方のようだ。
いったい政府は海外からの観光客を大いに受け入れたいと思っているのか、それとも拒もうとしているのか。今の円安下で中小企業の海外進出を支援するとの報道でも噴出した、政府や岸田政権のチグハグぶりが、ここでも再び露呈した格好だ。
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