最も大きなダメージを食らっているのはハイテク企業
しかも今回の景気悪化で最も大きなダメージを食らっているのはハイテク企業であるのは興味深い。
つい1年前までは世界を征服するのではないかと思われるほど貪欲に成長を貪っていたGAFA(Google、Apple、Facebook、Amazon)やMicrosoftは、いまやリストラの嵐となっている。
特にMeta(旧Facebook)は目も当てられないような惨状であり、2022年11月10日にはマーク・ザッカーバーグCEOは「社員1万1000人を解雇する」と発表せざるを得ないほど経営が悪化していた。
Metaは問題だらけのSNSから逃れようとメタバースに賭けたのだが、それは大きく裏目に出ており、資金流出が止められない。10月に発表した第3四半期の決算では、売上高こそ前年同期比4%減で抑えられたが、純利益は52%も吹っ飛ばしていた。
人員削減はメタバース部門だけではなく、FacebookやInstagramなどのSNSの部門でも行われる。
SNSと言えば、Twitter社もイーロン・マスクが買収してから一挙に社員の約半数である3,700人を解雇するという挙に出ている。
アメリカの企業はリストラにはドライであるとは言うものの、何の前触れもなく突如として「明日から来なくてもいい」と半分を放り出すのはあまりにも乱暴であり、すぐに訴訟が起こされている。
AppleとAmazonも新規採用を見合わせており、他にも多くのハイテク企業が人員をリストラして放り出している。Googleの親会社Alphabetもリストラに追い込まれるだろう。
仮想通貨は価値があるのかないのかも曖昧なもの
そんな状況なので仮想通貨の市場が無事であるわけがない。この業界もまた追い込まれて瀕死状態である。
取引所は大手が共倒れしてしまいそうな様相になっているわけで、そうであれば仮想通貨市場は「下がったから買い」というわけではない。
何度も言うように仮想通貨は株式と違って確固とした価値がないので、いったん人々の認識が動揺すると他のどの金融市場よりも激しく暴落していく。それが今、私たちの目の前で起こっているのである。
ドルのような法定通貨は利上げによって魅力的で強固な「安全資産」となり、その対比としての仮想通貨は不安定であやふやな「リスク資産」となる。
もともと仮想通貨というのは躁鬱的な値動きをするので、そんな中でも暴騰する局面はある。しかし、これから世の中がリセッションの到来で極度に悪化していくのに、リスク資産を抱えて暮らしたいと思う人はいない。
とすれば、これから仮想通貨市場は次第に参加者が減っていき、以後は長く低迷すると考えるのが常識だ。仮想通貨市場にとって参加者が減るというのは、実はとても不利な状況なのである。