GAFAはビジネス的な困難にぶち当たりながらも巨大な影響力を保ち続けるだろう。しかし、GAFAと言えども常に最強でいられるわけではなく、いずれは力が削がれていく日がどこかで必ずやってくる。2022年は、そうした方向に向かう「転機の年」であるのかもしれない。(『 鈴木傾城の「ダークネス」メルマガ編 鈴木傾城の「ダークネス」メルマガ編 』)
※有料メルマガ『鈴木傾城の「ダークネス」メルマガ編』好評配信中!ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。
プロフィール:鈴木傾城(すずき けいせい)
作家、アルファブロガー。政治・経済分野に精通し、様々な事件や事象を取りあげるブログ「ダークネス」、アジアの闇をテーマにしたブログ「ブラックアジア」、主にアメリカ株式を中心に投資全般を扱ったブログ「フルインベスト」を運営している。
GAFAが最強の企業ではなくなる日がやってくる?
ちょうど1年前までGAFA(Google・Apple・Meta・Amazon)は最強伝説が永遠に続き、売上はさらに上がっていくものだと思われてきた。
しかし、2022年からインフレと利上げとドル高が進んでいくと、GAFAは急に失速するようになり、いよいよ売上にも悪影響が及ぶようになってきた。
GAFAの中で、最もダメージを受けているのはMeta(旧Facebook)である。すでにSNSはフェイクとヘイトの増幅装置として嫌われるようになっており、さらに方向転換したメタバースの世界も赤字を垂れ流し続けている。Metaの株価は大暴落してまだ止まっていないような状況だ。
Googleの親会社であるAlphabetやAmazonもインフレと利上げによる広告事業の悪化によって第三四半期の決算は冴えないものとなっている。GoogleはYouTubeの増収率が止まってしまい、Amazonは広告だけではなく、稼ぎ頭であったAWS(Amazon Web Services=クラウド事業)も伸びが頭打ちになった。
Microsoftのクラウド事業であるAzureも売上が鈍化していることから、クラウド事業そのものがいよいよ飽和してきていることが指摘されている。
AppleだけはiPhoneやiPadやApple WatchやMac、あるいはサービス事業も含めて決算を乗り切ったように見えるが、ドル高での売上の悪化も垣間見られるようになってきた。ドル高が続く中で来期も好調かどうかは未知数だ。
ただ、さまざまな問題があるとは言えども、これらの巨大ハイテク企業は最強の経営が為されている。当面は、ビジネス的な困難にぶち当たりながらも巨大な影響力を保ち続けるだろう。
しかし、「GAFA」も常に最強でいられるわけではなく、いずれは力が削がれていく日がどこかで必ずやってくる。2022年は、そうした方向に向かう「転機の年」であるのかもしれない。
インフレとドル高が成長にブレーキをかけた
かつては世界最強のハイテク企業であったIBMは今もなお優良企業として生き残り続けているのだが、「最強の企業」ではなくなった。それを見ても分かる通り、GAFAがいつまでもモンスター企業であり続けるというのは非現実的かもしれない。
今、この時点で「GAFAが最強の企業ではなくなる」と言っても、第三四半期の決算が期待外れだったくらいでは、まだ実感がないかもしれない。多くの人にとっては今でもGAFAは比類なき存在であり、「神」と考える人もいるほどだ。
しかし、どんな企業でも社会環境が変わったら、いずれは最強ではなくなってしまうのは仕方がないこともである。
2022年からインフレとドル高が世界を席巻しているのだが、そうした環境変化が生まれただけでも海外売上比率が高いGAFAも売上が急減速してしまうことが見て取れる。
日本でもドル高円安でiPhoneなどの製品の価格が急に引き上げられて「もう金持ちしか買えない」という悲鳴も上がっている。ただでさえ高いApple製品はドル高でより高くなってApple離れを加速させてしまった。