fbpx

2023年アメリカ不況は本当に来るのか?万引き・住宅ローン滞納の急増ほか日本では報道されない実態=高島康司

始まった大量解雇

まず、いまアメリカ国内で多くなっているのが大量解雇だ。筆者の印象だが、最近数カ月で急に増えた感がある。

たとえば、イリノイ州北部にあるジープやチェロキーを委託組み立てする工場では、1,350人の従業員が解雇されることがわかった。同社は、現在の自動車業界について、現在進行中のコロナのパンデミックや世界的なマイクロチップ不足など、多くの要因から悪影響を受けているが、最もインパクトのある問題は、自動車市場の電動化に関連するコストの増加だとしている。さらに、ローン金利の上昇による車の売上の減少も要因としてあげている。

また、アメリカの大規模スーパーチェーンの「コストコホールセール」のコールセンターを運営している「ワイヤレスアドボケート社」では1,800人以上の従業員が解雇された。「コストコ」の現地担当者は、2022年12月5日にすべての「コストコ」の店舗で、コールセンターを突然営業を停止した。

さらにすでにリストラを発表している「アマゾン」は、これまでの予想の2倍となる2万人を解雇する計画のようだ。配送センターの従業員、IT専門家、企業幹部など、さまざまな分野で「アマゾン」は人材をリストラする。状況を知る者によると、「アマゾン」のレイオフは今後数カ月の間に行われるという。

ちなみに「アマゾン」の労働者は、レベル1からレベル7までランク付けされている。今回のリストラはすべてのレベルのスタッフが影響を受ける。「ニューヨークタイムス」は、「アマゾン」が11月中旬に1万人のレイオフを計画していると報道していた。しかし、実際にレイオフされる数は2万人になっていた。

また、全米最大の運送会社「フェデックス」も、未定数のドライバーの一時解雇を開始すると発表した。自主的な一時帰休は指定された期間まで実施され、ドライバーは職場復帰を保証されると同社は声明している。同社は、一時帰休を受け入れるドライバーに週300ドルのインセンティブを提供する。ドライバーの復職時に全額が支払われるという。

予測される失業率の上昇

ところで、失業率は今後増加することは「FRB」も公式に認めている。「FRB」が発表した最新の予測では、失業率は現在の3.5%から来年末には4.4%に上昇するとしている。これは、失業率が3.7%に上昇するという6月の予測よりもかなり高い数字である。これは、現在から2023年末までの間に、およそ100万人が失うことを意味する。

だが、「FRB」のこの予測はあまりに楽観的だとする見方も多い。「シティバンク」が今週発表した最新のレポートでは、失業率が5.25%まで上昇すると予測し、2023年には推定200万人の失業が増加する可能性があるとしている。レポートでは、「FRBの利上げと債券ポートフォリオの縮小は、2023年内の経済収縮を引き起こすのに十分厳しいものであると我々は考えている」と述べている。そして、「もしFRBが収縮を見るまで利上げを一時停止しなければ、より深い不況が続くかもしれない」と述べ、来年の不況入りを警告した。

ヘッドハンティング会社、「チャレンジャー・グレイ・アンド・クリスマス社」の集計によると、11月のレイオフ件数は10月と比較して127%増となった。 2021年の同月と比較すると、11月のレイオフ数は417%も増加している。 これは大きな変化だ。 これらの数字は、米国における大量解雇の波が今始まったことを告げている。

Next: 気になる家計資産の減少と住宅価格の下落。国民の生活苦は明らか

1 2 3 4
いま読まれてます

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

MONEY VOICEの最新情報をお届けします。

この記事が気に入ったらXでMONEY VOICEをフォロー