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なぜ既得権益でウハウハの地方議員に「なり手不足」が起きるのか。年間稼働40日・議会は毎回1時間程度の“怠け者天国”が維持される闇=神樹兵輔

海外と比較すると極めて高額な議員報酬

そのうえ、新規分はほとんどが廃止されたはずの、赤字財政の年金まで受給している高齢議員も少なくないのです。

諸外国の地方議会議員は、日当制か、年額報酬の場合にしても、ボランティア報酬が主流です。日本円換算でも、年間数十万円単位以内に収まります。

年間生活費を丸抱えする形の日本とは大違いなのです。

年間数百万円にも及ぶ報酬が支払われるような海外の地方議会議員は、本当にごくごく稀な存在なのです。

海外では、昼間働いている自営業者やサラリーマンでも、気軽に地方議会で意見を述べられるように、議会はほとんど夜間に開かれています。日本もそうすればよいのです。

真っ昼間に、年間90日程度しか議会が開かれず、少数の委員会なども、年間数回程度しか開かれないのに、2,000万円超の高額報酬が貰える日本の都道府県議会の議員は、世界でも稀に見る「奇観」を呈しているのです。

おまけに、都道府県会議員はオイシイ身分なので、世襲議員がゴロゴロいて、地域で税金を蝕んでいます。

日本では、首長と議会議員を住民が直接選ぶ、地方自治における「二元代表制のチェック機能」は、ほとんど機能していないのが実態です。それが日本の地方議会なのです。

こんな議員たちはほとんど不要でしょう。

税金の無駄遣いだからです。

人口過疎化が進む町村議会は議員定数を削減せよ

さて、前置きはともかく、来月行われる統一地方選挙を前に、最近マスメディアでもよく取り上げられるようになってきたのが、日本の地方議会の「議員のなり手不足」の問題です。

こんなにラクチンな地方議会の議員職なのに、なぜ「なり手」がいないのでしょうか。

それには2つの視点が必要です。

ひとつ目は、小規模な町村会議会における議員の「なり手不足問題」です。

総務省調べでは、前回の統一地方選挙(2019年4月)では、全国の93町村で、立候補者が定数に満たないために、投開票を行わず、立候補者全員が無投票で当選した割合が、23.3%となり、過去最高でした。これは毎回増えているのが実態です。

こうした小規模自治体の議会においては、議員のなり手がいないことを理由に、議員たちはお手盛りで報酬額をアップしています。

もっとも、公職選挙法では、議員定数に不足する立候補者数が、定数の6分の1に満たなければ(16.66%未満)、「再選挙」を行う定めになっています。

議員定数が10人ならば、8人の立候補では駄目で(2人不足で20%未満)、9人以上が立候補していなければならないのです(1人不足で10%未満に到達)。

それでようやく、無投票当選の9人の議員で議会が構成される仕組みです。

筆者にいわせれば、小規模自治体は、人口減少の過疎化が進み、少子化で高齢者ばかりになっているのですから、さっさと議員定数を大幅削減すればよいだけなのです。

小規模議会は「議員のなり手不足」を理由に、報酬額をアップさせ続けているのが実態で、非常に欺瞞的です。

既存議員がこれ幸いと、既得権益をチューチュー吸いまくっているのです。

報酬額を上げたからといって、「なり手」が現れる保証はありません。

現に「なり手不足」が解消されず、報酬額を元に戻し、議員定数を減らした町村議会もあるのです。

そもそも住民からの興味や関心ももたれず、首長と馴れ合う高齢者議員ばかりの無気力・無能力議会なのですから。

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