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なぜ既得権益でウハウハの地方議員に「なり手不足」が起きるのか。年間稼働40日・議会は毎回1時間程度の“怠け者天国”が維持される闇=神樹兵輔

日本の地方議会は40日~90日程度しか開催されていません。しかも、議案の検討もろくに行われず、議会の所要時間も極めて短いのです。時給換算するとべらぼーな報酬を得ながら、ろくな仕事をしていないのが実態です。それにも関わらず、議員のなり手不足はなぜ起きるのでしょうか?今回は日本の地方議会が抱える構造的な闇について語ります。(『 神樹兵輔の衰退ニッポンの暗黒地図――政治・経済・社会・マネー・投資の闇をえぐる! 神樹兵輔の衰退ニッポンの暗黒地図――政治・経済・社会・マネー・投資の闇をえぐる! 』)

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※本記事は有料メルマガ『神樹兵輔の衰退ニッポンの暗黒地図――政治・経済・社会・マネー・投資の闇をえぐる!』2023年3月13日号の一部抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会に今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:神樹兵輔(かみき へいすけ)
投資コンサルタント&マネーアナリスト。富裕層向けに「海外投資懇話会」を主宰し、金融・為替・不動産投資情報を提供。著書に『眠れなくなるほど面白い 図解 経済の話』 『面白いほどよくわかる最新経済のしくみ』(日本文芸社)、『経済のカラクリ』 (祥伝社)、『見るだけでわかるピケティ超図解――21世紀の資本完全マスター』 (フォレスト出版)、『知らないとソンする! 価格と儲けのカラクリ』(高橋書店)など著書多数。

年中ヒマでも高額報酬をもらえる地方議員

今回は、来月行われる統一地方選挙を前に、国民の多くが甚だしく誤解している「地方議会議員の存在意義」について、厳しくえぐっていきます。

とりわけ注目したいのは、人口の多い大規模自治体議会の議員の「高待遇・高額報酬」の問題と、人口の少ない小規模自治体議会の「議員のなり手不足解消のための報酬額アップ」という問題についてです。

多くの住民は誤解していますが、地方議会は、年間たったの40~90日程度しか開かれていません。

基本は、年4回(3月・6月・9月・12月)の定例会がある程度です。

年中議会が開かれているわけではないのです。

多くの専従地方議員は、年中ヒマをもて余しています。

ヒマなので、「淫行」「薬物使用」「不倫」「酒酔い運転」などの事件をよく起こします。

昨年10月17日号や今年1月30日号の本メルマガでも取り上げましたが、市民の多くが、こうした地方議会議員の活動実態を、知らなすぎるのが問題なのです。

議会が開かれるのは、都道府県議会で年間たったの90日程度、市区議会で80日程度、町村議会になると、わずか40日程度です。

しかも、その議会の所要は1時間程度です。

たまーに何かの問題で紛糾して、マスメディアに長時間議会が報じられるぐらいで、首長とほとんど癒着関係にある地方議会は、常に平穏です。

そのくせ、ベラボーな年間高額報酬を地方議員は得ています。政務活動費を含む報酬は、都道府県議会議員が約2,000万円超、市区議会議員で700万円~1000万円超、町村会議員が300万円~400万円です。

時給換算すると、ベラボーなのです。

日本全国での地方議員の総数は、2021年12月末時点で、32,021名もいます。都道府県議が2,598名、市区議が18,698名、町村議が10,725名です。

議案も素通り地方議会は怠け者の楽園

しかし、とりわけ人口の少ない自治体の町村議会では、報酬が少なすぎて「議員のなり手がいない」などと、盛んに騒がれています。

そのくせ、地方議会議員の多くが、不勉強で怠け者のため、地方行政についての意見や主張もありません。

つまり、ロクに働いてもいないのが実態なのに、「なり手がいないのは議員活動が大変なのに、報酬が少ない」というイメージを広めたいためだけなのです。

実際は、地方議員ならぬ、ほとんどが痴呆議員状態なのです。

地元選出の国会議員の選挙の時だけ、裏でお小遣いをもらって、チャラチャラと大親分の選挙のお手伝いに馳せ参じます。

彼らが目立って活動するのは、こうした選挙の時だけです。

なにしろ地方議員の多くは無知ゆえに、議会では首長への「質問事案」も考えられず、何を質問すべきか、議会スタッフ(自治体職員)にオンブに抱っこで面倒を見てもらっているのが実情だからです。

こんなにも役立たずで、税金ドロボーなのが、地方議会議員の実態です。自分の選挙の時だけ、議会で頑張っているフリをしています。

自治体職員の生の声を報道すべきマスメディアがまともに報じないので、住民にも、こうした議員の実態が知らされません。

ほとんどの地方議会では、議員からの修正提案もなく、首長提出の条例案は、95%以上が無修正のまま議会を通過しています。

地方議員の議会での居眠りも常習化しているのです。

たとえ目を開けて議上で起きていても、行政についての見識さえ持ち合わせていなければ、議場で寝ているのと同じです。

住民の誰もが地方議会に興味も関心もないので、議会がこんなに「怠け者の楽園」となっている実態を知られていません。

住民の税金が、たっぷりどっぷり貪り取られているにも関わらずです。口を開けば、「報酬が少ない」「任期を終えた4年後の当選の保証がないため生活が不安定」などといいます。ロクに活動もしていないのにです。

Next: 海外と比較すると極めて高額な議員報酬

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