ECへの対応が遅れている?ZARAとの比較
日本のアパレルEC市場規模は拡大しています。同時にEC化率(売上高に占めるオンライン購入の割合)も右肩上がりで伸びています。2021年、アパレルのEC化率は21.15%に到達しました。
出典:経済産業省 デジタル取引環境整備事業報告書(青:市場規模 オレンジ:EC化)
ユニクロのEC化率は22年8月時点で約20%ですから、日本の市場平均と同じレベルです。
しかし、グローバル企業の競合各社と比較するとユニクロのECはやや遅れています。
- 業界1位「ZARA」EC化率:27%(22年時点)
- 業界2位「H&M」EC化率:28%(21年時点)
- 業界3位「ユニクロ」EC化率:20%(22年時点)
なぜ遅れが出ているのでしょうか?今回は業界1位のZARAと比較します。根本的にはビジネスモデルの差がEC化率の差となっているのです。
ユニクロ | ZARA | |
コンセプト | 普段着 | トレンド重視 |
価格 | 超低価格 | 低価格 |
生産方式 | アジアで安く | スペインでスピード重視 |
輸送(コスト) | 船便(安い) | 空便(高い) |
出店 | 都会から田舎まで ロードサイド店舗あり |
人が集まる繁華街 ロードサイド店舗なし |
特徴 | トレンドに左右されない ベーシックアイテム |
週2で世界へ新商品を届ける |
ZARAはロードサイド店舗を出店しない方針です。一方ユニクロは、コンビニのように出店することで、多くの人の手の届く戦略です。つまり、ユニクロは必ずしもECに頼らずとも需要を獲得できる、とも考えられます。
それでもユニクロは売上高に占めるECの割合を30%にする、という目標を掲げています。(最新23年8月期1Qでは約20%)
なぜECを促進する必要があるのでしょうか?
顧客視点では「服が欲しいけど店舗に行く時間がない・わざわざ行くのも面倒、広告(インフルエンサー)を見て即買いたい、店員に話しかけれたくない、アルゴリズムに提案されるのが良い」というニーズがあり、極め付けはコロナ禍でネットショッピングが身近になりました。
一方企業視点では「余分な在庫を抱えない、輸送コストの軽減に繋がる、EC経由で顧客情報を獲得できる」などのメリットがあります。
これらを考えると基本的にはEC促進は非常に重要です。
しかし、そもそもあなたはネットで服を買うことに少なからず抵抗があるのではないでしょうか?
アパレルのECについて調査を進めると、日本人はECでサイズや色味の失敗が怖いと感じやすいことがわかりました。
一方で海外は失敗することが前提で、返品の文化が根付いており、日本人とは感覚が違う部分があるようです。
つまり、ECを軸にすると海外の方が開拓余地があるのではないか?と考えます。