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迷走する「東芝」TOBは成立するか?非上場化までに5つのハードル、株主はすぐに売るべきか=栫井駿介

TOBは成立する?

<現在の株価とTOB価格>

東芝<6502> 週足(SBI証券提供)

東芝<6502> 週足(SBI証券提供)

物言う株主が入ってきた2017年から今までの間に実は株価は上がっています。

物言う株主は2,800円くらいで買っているので40%ほど上がっていることになります。

ただ、不正会計が発覚する前と比べるとマイナスが大きいです。

今回のTOBの価格は4,620円です。

3月29日の終値4,422円からすると4.5%の開きがあります。

一般的なTOBだと、「サヤ寄せ」といって、TOB価格にピッタリかわずかに(1~2円)低い株価になります。

それなのに4.5%の開きがあるということは、それだけ“不確実性がある”ということです。

TOBが開始されるのが、少なくとも4か月後になるので、その4か月の間に何があるか分からないということです。

TOB価格より安ければ儲かるという普通のTOBとは別物として考えるべきだと思います。

<TOB成立までのハードル>

  • 各国競争法投資規制法の手続きを終えられるか
  • これに関しては、大きく妨げるものは無いので難しくはないと思います。

  • 東芝の取締役会および特別委員会が応募推奨を出せるか 
  • 東芝の取締役会には投資ファンドも入っていて、もっと高く売りたいという思惑があるので、取締役会の回答は現在「保留」となっています。

  • 株主がTOBに応募するか 
  • 今の価格で物言う株主たちがTOBに応募するのかということも懸念点としてあります。一方で、この問題もかなり長引いているので、いい加減手を引きたいと考えている投資家も少なくありません。ただ、このTOBの契約は(違約金はあるものの)解除することが可能なものとなっていて、TOB自体が行われないというリスクも存在します。

  • 対抗TOBが出てこないか(=ポジティブなケース) 
  • 株主にとってはポジティブなケースとなりますが、日本産業パートナーズが4620円という価格を提案しているところをもっと高値を提示してくるところが現れるかもしれません。
    物言う株主はそれを期待し、動いている可能性もありますが、希望的観測に過ぎないとも見られます。

  • 政府、産業界、物言う株主、経営陣の様々な思惑
  • 東芝は内外に様々な問題があり、とてもややこしい状態となっています。そもそもこの東芝の問題は経営陣の社内抗争を発端としていて、今もなお「派閥」が存在すると思われ、新たないざこざが発生する可能性もあります。

上記の問題が6ヶ月以内にまとまらなければ、TOB不成立のリスクも残っているという状況です。

あなたが東芝の株主なら

今、東芝の株を持っているとしたら、TOB成立まで保有し続けるべきでしょうか、すぐに売ってしまうべきでしょうか。

<保有し続ける理由>

  • あと5%高く売れる可能性(TOB成立が前提)
  • 対抗TOBでさらに上がる可能性
  • TOB不成立でも今後成長する可能性

<すぐに売却する理由>

  • TOB不成立で株価下落・不安定化
  • TOB成立したとしてもそれまでの4か月間は資金拘束されてしまう

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