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ナイキとアシックス、投資するならどっち?圧倒的ブランド力に“弱者の戦略”で挑むアシックスを長期投資家はどう判断するか=佐々木悠

アシックスの投資リスクは何か?

業績は好調であり、強みを持っていると言えるアシックスですが、リスクもあります。

それこそまさに、ナイキなど海外競合の存在なのです。アシックスの本社は神戸にありますが、海外売上比率は80%を超える超グローバル企業です。

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出典:SPEEDAより作成

だからこそ、ナイキの動向には注意する必要があります。

そう考える理由は、度々出ている厚底シューズの話があります。日本人が最も馴染みある陸上大会である、箱根駅伝の例をとって考えましょう。2017年の箱根駅伝ランナーのシェアはアシックスが31.9%と1位でした。しかし、その年にナイキが厚底シューズを発売し、長距離業界に大きな衝撃を与えます。結果、2021年にはナイキが箱根駅伝のシェア96.7%。ほぼ全員がナイキのシューズを走るようになり、競合他社を大きく出し抜きました。

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出典:東洋経済オンラインより作成

2023年の箱根駅伝のシェアは、アシックスが15%まで回復し、ナイキは60%までシェアを落としました。とはいえナイキの存在は、アシックスの最大市場であるランニングシューズ販売において、これ以上ないほど大きなものとなっています。従って、アシックスの業績の好調はランニングブームや経済活動の再開によって、市場そのものが拡大している恩恵が大きい、と考えます。トップアスリート向けの良いシューズを作る、という本来の強みが、ナイキに先を越されてしまった印象を受けます。

あなたはどちらに投資したい?

いかがでしたでしょうか?最後にアシックスとナイキの株価の評価をみてみましょう。10年間の株価推移を見ると、今年に入りアシックスの株価が急上昇していることがわかります。背景には、業績の急成長があるでしょう。(今期売上は28.9%増、営業利益は75%増 。為替除くと売上19%増となる)

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出典:Yahoo!ファイナンス

ナイキの株価が低迷している理由は、商品在庫増加が進み収益性が落ちていることや(それでも競合他社よりも優れていますが)中国経済の回復が思ったよりも遅いことがリスクと考えられています。また、面白いことに、同じ中国における販売でもナイキが苦戦しているのに対し、アシックスは好調であることです。ナイキの中国における販売チャネルはさらに深堀が必要ですが、少なくともアシックスはアリババなどECを活用して中国における売上を強化してきました。こういった戦略の違いが、現在の売上状況に影響を与えているのかもしれません。

目先利益が低調だが、業界内で圧倒的な地位を持っているナイキ。

業績は好調、株価も伸びているが、外部環境による影響が大きく競合他社に市場を独占された経験があるアシックス。

23年9月11日15時現在のアシックスのPERは39.2倍、NIKEは30.2倍です。

あなたはどちらに投資したいと思いますか?


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image by:soportography / Shutterstock.com
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バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 』(2023年9月13日号)より
※記事タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による

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【毎日少し賢くなる投資情報】長期投資の王道であるバリュー株投資家の視点から、ニュースの解説や銘柄分析、投資情報を発信します。<筆者紹介>栫井駿介(かこいしゅんすけ)。東京大学経済学部卒業、海外MBA修了。大手証券会社に勤務した後、つばめ投資顧問を設立。

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