「ガスタービン」の受注高が過去最高を記録
1つはこの「GTCC」という、ガスタービンなど発電に使われるものです。
GTCCの受注高が過去最高を記録したということです。
2020年には世界シェアは25%くらいだったものが、今は3割くらいになっていて世界シェア1位です。
この間に技術開発があったと見られ、三菱重工のガスタービンは効率性がかなり高く、つまり競争力があるということです。
電力を効率的に低コストで作ることが重要となってくる中で、純粋に素晴らしい製品を作っていると言えるのではないかと思います。
今の好調の前には三菱重工は苦労していて、2017年から2020年にかけては業績が落ち込んでいました。
その時に様々な改革を行っています。
まずはコストを削り、より稼げるところに集中していくことで、収益性を回復させようという動きを行い、それが今花開いているのが今回のガスタービンの事業ということになるかと思います。
また、かつて、日本のオリジナルの航空機を作ろうということで、国家プロジェクトとして『三菱リージョナルジェット(MRJ)』の開発を行っていましたが、アメリカ当局の許可が下りず、結果的にはあきらめたということがありましたが、その損失もあり業績的には厳しい状況でした。
そこからなんとか収益性を強化しようと努力してきたのが三菱重工のこれまでの流れです。
その一つの結果として現れているのがガスタービンということになります。
ライバルになるのはアメリカのGEやドイツのシーメンスなどになりますが、そもそもこれほど大きなガスタービンを作れる企業は世界的にも少ないので寡占市場ではありますが、その中で力を付けてきました。
さらに、ガスタービンはある年限で更新することになると思われ、そのタイミングと上手く合致したこともあるかと思います。
コロナが明けて世界中の景気が良くなって需要が盛り上がったタイミングで高い技術を持ったものを販売しているということで、受注売上が伸びていることが見て取れます。
コロナの反動増
三菱重工は他にも航空機や戦闘機も作っています。
航空機に関して言えば、コロナ禍で移動が制限され飛行機がなかなか飛べず、新しく航空機を作るタイミングではありませんでした。
しかし世界の需要が通常に戻ってきて、反動増の状況が航空機の分野には生じてきました。
防衛産業
さらに三菱重工にとって追い風になっているのが防衛産業です。
ロシア・ウクライナの問題などもあり、世界中で防衛力を強化しようという動きが進んでいます。
三菱重工は日本の防衛産業を担っている側面があり、防衛費も上がり、他国と協力して新たな戦闘機を開発しようという話も出ています。
手放しで喜べる話ではないですが、地政学リスクが高まるほど三菱重工の防衛事業に対するニーズは高くなってきます。
これらの外部環境的な追い風もあって、業績は大きく伸び、過去最高を記録しています。
受注が多いということで、目先だけでなくこれから先もしばらく好業績が続くだろうという安心感から買われている部分もあるかと思います。
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