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もしトラが「ほぼトラ」に。銃撃事件は米大統領選にどう影響するのか?支持層に変化も=澤田聖陽

7月13日、トランプ前大統領がペンシルベニア州で演説中に銃撃を受けた。トランプ前大統領は右耳を負傷したが命に別状はなかった。クルックス容疑者はその場で撃たれて死亡、その他に聴衆にも1名犠牲者が出てしまった。痛ましい事件であるし、民主主義を妨害する暴力に対しては強い怒りを覚える。犠牲者が出ているなかで後ろめたい部分もあるが、本事件の影響を分析するのは筆者のような仕事をしている人間の責務だと考えているので、以下、本事件が大統領選にどう影響するかを分析する。(『 元証券会社社長・澤田聖陽が教える「投資に勝つニュースの読み方」 元証券会社社長・澤田聖陽が教える「投資に勝つニュースの読み方」 』澤田聖陽)

※本記事は有料メルマガ『元証券会社社長・澤田聖陽が教える「投資に勝つニュースの読み方」』2024年7月16日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:澤田聖陽(さわだ きよはる)
政治経済アナリスト。国際証券(現:三菱UFJモルガン・スタンレー証券)、松井証券を経て、ジャフコ、極東証券にて投資業務、投資銀行業務に従事。2013年にSAMURAI証券(旧AIP証券)の代表に就任。投資型クラウドファンディング事業を立ち上げ拡大させる。現在は、澤田コンサルティング事務所の代表として、コンサルティング事業を展開中。YouTubeチャンネルにて時事ニュース解説と株価見通しを発信している。

英雄が好きな米国人

今回の銃撃でトランプ前大統領はシークレットサービスに守られながら退席する際に拳を突き上げ、その映像が広くメディアやSNSで出回った。

強い候補、暴力に負けない候補であることをアピールしたのだ。

米国人は今も昔も強い男が好きである。

過去には1981年にレーガン大統領が銃撃された事件があったが、その後の1984年の選挙では圧勝している(暴力に負けない強い大統領というイメージが確立した)。

1984年の大統領選は民主党の候補者はウォルター・モンデール氏であったのだが、選挙人の数ではレーガン525人に対してモンデール13とレーガン元大統領が圧勝した。

1984年当時よりも共和党支持者と民主党支持者の思想の分断は進んでいて、トランプ前大統領のアクの強さを考えても、1984年の大統領選のような圧勝まではならないだろうが、銃撃事件前でも激戦州と言われる州で軒並みトランプ有利という状況となっている。

2024年の大統領選の選挙人数は538人で270人以上の選挙人を獲得した候補者が当選となるが、今のままの情勢であれば、トランプ前大統領が300人以上の選挙人を獲得して当選しそうな勢いだ。

副大統領候補にバンス上院議員を起用

7月15日、トランプ前大統領がウィスコンシン州で行われた共和党全国大会で、正式に共和党の大統領候補に指名された。

また自身が運営するSNSである「トゥルース」でオハイオ州の上院議員であるJ・D・バンス氏を副大統領候補に指名した。

バンス氏は39歳という若さだ。同氏は2016年に「ヒルビリー・エレジー」という自伝を発表したのだが、同著の中で自身の貧しい生い立ちを通じて白人労働社会階級の直面する問題を描いた。

元々はベンチャーキャピタリストで、共和党支持者で有名なカリスマ投資家であるピーター・ティール氏がオーナーであるMithril Capital Management, LLCで社長を務めており、その後Narya Capitalというベンチャーキャピタルでも資金を集めたようである。2022年の中間選挙でオハイオ州の上院議員として当選した。

米国の大統領選では大統領候補と副大統領候補はチームとして評価される。若くて次期大統領候補になり得るバンス氏を副大統領候補に指名した事はプラスに働くだろう。

もう1つ大きなポイントは、バンス氏がカトリック教徒であるという点だ。米国はプロテスタントの国だと思われがちだが、カトリック教徒も7,000万人ほどいると言われており、選挙においては無視できない母数だ。

トランプ前大統領は福音派などのプロテスタントからの支持は強いが、副大統領候補にバンス氏を選んだことにより、カトリックの票も取り込めるという算段があると思う。

Next: 「もしトラ」は「ほぼトラ」に?選挙まで4か月あるが…

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