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今年最大の新規上場で注目のタイミー。「高すぎる社会保険料が招いた成功」との評価が多数飛び交うなか、今後の規制は必至?との見方も

スポットワークの仲介アプリを運営するタイミーが、東証グロース市場に上場。今年最大の新規上場となったことが話題になっているようだ。

タイミーの株価は上場した26日、公開価格(1450円)を28%上回る1850円で初値が付き、終値は1650円。

報道によれば、時価総額(公開価格ベース)は約1380億円と、創業10年以内のスタートアップの上場で、時価総額が1000億円を上回るのは、2021年9月に上場したクラウド監視カメラシステムのセーフィー以来となるとのこと。

なお、売り出した株式の約8割は海外の投資家向けで、タイミー側としては長期保有の安定株主を増やしたいという狙いのようだ。

40代以上が47%を占めるタイミー利用者

2017年に当時大学生だった小川嶺代表が前身となる企業を創業し、18年に数時間単位で働けるスポットワークの仲介サービスを開始したタイミー。

働き手側としては、履歴書などの提出や面接を受けるといった手間が必要なく、求人に手軽に応募でき、その翌日に働くことが可能なうえに、報酬を即日受け取ることができるといった点が大いに人気を博すことに。

いっぽうで求人を出す企業側としては、求人の掲載料金が無料で、また採用が成立した場合のみ、働き手に支払う報酬の30%を手数料としてタイミーに支払う形をとっているほか、タイミーを通じて縁ができた働き手を企業側が正社員として雇用することも、タイミーは許しているという。

このように、働き手・企業側ともにメリットのある仕組みを作ったことで、創業からわずか6~7年の今年4月末時点での登録者数は約770万人、導入事業所は全都道府県で約25.4万カ所に及ぶまでの急成長を遂げ、今回の上場に至ったタイミー。

そんななか、同社が上場に際して公開した資料の中にあった“タイミーワーカーの属性”なるデータが、SNS上で大いに話題となっているところ。

というのも、タイミーを利用して働く人々を年代別に分けると、もっとも多いのは20代の28%ではあるものの、40代や50代といった年代もかなり多いようで、その両世代を合わせると42%、40代以上だと47%ということで、約半数を占めている状況だというのだ。

現在の40~50代といえば、いわゆる“氷河期世代”が多分に含まれてくる年代だが、その点に関して大いに思うところがある向きは多いようで、SNS上からは「社会の闇を感じる」「若い頃は、フルキャストやグッドウィルやクリスタルに搾取され、中高年でタイミーに食い物にされる」「氷河期世代は一生浮かばれんね」などの声があがっている状況。

ちなみにそんなタイミーといえば、今回の上場に合わせてか、つい先日新しいCMを公開したのだが、そのBGMに流れているのが、なぜか安室奈美恵の1996年6月リリース曲「You’re my sunshine」。

あまり脈略がなさそうにも思えるこの選曲なのだが、実はタイミーのメイン利用者層である氷河期世代が青春真っ只中だった時期の一曲だったということで、SNS上からは妙に納得したという反応も、ここに来て大いに広がっているようなのだ。

新規参入が相次ぐスポットワーク仲介事業

このように、氷河期世代にとっての新たな“命綱”になっている状況が明らかになった格好のタイミーなのだが、そのいっぽうで雇う企業側にとっての、より大きなメリットとなっているとの指摘が多いのが、タイミー活用により企業の大きな負担となる働き手の社会保険料負担を、極力回避できるという点だ。

ご存じの通り、働き手ひとりの月額賃金が8万8000円以上の場合は、社会保険に加入しなければならず、企業側にも相応の負担が発生する。

そこをタイミーからの短期バイトを多く使うことで、企業側は社会保険料の負担を避けることが容易になるということだが、ちなみにタイミーには、この月額8万8000円を超えないための“ブロック機能”なるものまで用意されているなど、その点をよく加味されたサービス設計がなされているという。

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そのゆえSNS上からは「「いまの社会でもっとも搾取されているのは社会保険料」という事実がタイミー成功の理由」といった皮肉交じりの声も飛び交っているのだが、ただその反面で、こういった“社保逃れ”が横行する状況が長くは続かないとの見方は多く、この先何らかの規制がかかるのでは……との声も広がっているところだというのだ。

そういった懸念も影響してなのか、先週末の終値は1650円だったタイミー株も、週明け29日はというと終値1,552円と、実に9.61%の下落に。

現在はタイミーの一人勝ち状態のスポットワーク仲介事業も、今年3月にはメルカリがサービスを開始したほか、今秋にはリクルートの参入の予定されているなど、今後の競争の激化は必至といった状況もあり、果たしてタイミーはさらなる成長を遂げることができるのか、あるいは上場をピークに尻すぼみになっていくのか、今後の動向が大いに注目されるところだ。

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