fbpx

ドンキ創業者“22歳息子”の取締役抜擢に広がる波紋。若い感性を入れたいとの説明も「これぞ同族経営」「出生ガチャでSSR」など揶揄する声が噴出

「ドン・キホーテ」を運営するパン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(PPIH)が、安田隆夫創業会長兼最高顧問(75)の長男である安田裕作氏(22)を、取締役に選任すると発表したことが、大きな反響を呼んでいるようだ。

報道によれば、安田裕作氏は9月27日開催予定の定時株主総会での承認を経て、非常勤の取締役に就任する見通しだということ。

同氏は以前、ドンキの店でアルバイトとしての勤務経験があるといい、2024年1月に同社に入社。海外事業や安田会長に関わる事務などに従事していたという。

近年相次ぐ同族企業による不祥事

先日発表された2024年6月期連結決算では、純利益が前期比34%増の887億円と最高益を更新。さらに売上高は8%増の2兆950億円と、日本の小売業としてはセブン&アイ・ホールディングス(HD)、イオン、ファーストリテイリング、ヤマダHDに次いで、5社目となる2兆円の大台超えを果たしたPPIH。

現在は会長兼最高顧問を務める安田隆夫氏が、1978年に開業したわずか18坪の雑貨店「泥棒市場」を振り出しに、一代でここまでの巨大企業に成長発展させたわけだが、今回取締役就任が発表された裕作氏は、なんでもその隆夫氏が50代の頃に、後妻との間に生まれた子なのだという。

歳を取ってから生まれた子どもは殊更に可愛いものだとは、世間一般でよく言われる話だが、とはいえ今回の件は、入社して1年にも満たない22歳の息子をいきなり取締役に抜擢ということで、巷からは「これぞ最強の同族経営」「出生ガチャでSSR引いたら人生勝ちですね」などの揶揄する反応も多くあがっているようだ。

そうでなくともこのところは、同族経営で知られる大企業が世間を賑わすといった事例が、相次いで起きている状況。

昨年大きな騒動となったビッグモーターでは、副社長を務めていた創業者の息子による社員らへの度重なるパワハラ行為が大いに取沙汰されたいっぽう、ミツバチ製品の開発・販売を手がける「山田養蜂場」では、創業家で現社長の次男にあたる人物が、入浴施設での盗撮容疑で逮捕されるなど、いわゆる“ボンクラ息子”による愚行で家業が傾くといった事態が続出。

また、入社直前の“給料減額”などが原因で、一般職採用の新入社員の大半が入社辞退したと報じられた「いなば食品」では、その後社員に対する“揚げ物禁止”のお達しや、同社の運転手になぜか“塾の送迎”が含まれるといった、同族企業ならではの謎ルールの存在や公私混同ぶりが判明し、「やっぱり同族企業はヤバい」との声が噴出することとなった。

【関連】山田養蜂場、社長の次男が盗撮&児ポ法で逮捕。ビッグモーター同様“倫理観なきボンクラ息子”の所業に呆れる声。家族愛を標榜する同社に計り知れない痛手か

【関連】いなば食品、一般職の9割が入社辞退の異常事態。入社直前の給料減額など同族企業の悪弊が続々露見も“大スポンサーへの忖度”で大手メディアはスルーか

さらについ最近の話だと、紅麹サプリメントによる健康被害が続出した小林製薬も、典型的な同族企業。

情報開示の遅れなどその対応が終始後手に回った原因は、創業家出身である元社長がそれらを渋ったためとされ、その後創業家の外から選出された新社長が「創業家中心の同族企業なので、良い時は一枚岩になって強く回るが、回り方が逆になると負の方に回る」と、同族企業がもたらす弊害を健康被害を招いた背景の一つとして挙げたのだ。

国外から俄かに注目を集める日本の同族経営

このように同族企業へのイメージが下がっているなかでの、今回のPPIHの件ということで、世間から大いに取沙汰されることになっているわけだが、同社の説明によれば、ドン・キホーテのファンが若年層を中心としているのに対し、取締役の現状の年齢構成は40〜70代と、ターゲットとしたい層と離れていることから、若い感性を入れたかったとのことのよう。

しかしその反面で先述の通り、創業者で現会長の安田隆夫氏が歳を取ってからできた息子ということもあり、例えばよくある社外の銀行などでの“修行”を経て入社……という時がかかるルートは端折り、自らの目が黒いうちに早々と息子をボードメンバーに加えておきたかったという思惑も、透けて見えるところである。

ちなみに世間からは最近あまり評判のよくない同族経営だが、実は日本の上場企業の約半数近くが、創業家が経営に関与するファミリー企業だというデータもあるなど、その数は思っている以上に多いというのが実際のところ。

同族企業においては、そうでない企業よりも社長の在任期間が長きに渡るといったこともあり、それゆえ長期的な視野に立って経営を行えるというメリットがあるとの指摘も。株主偏重で短期的な利益を追い求めるといった、いわゆる米国型の資本主義が行き詰まりつつあるとの声もあるなかで、日本の同族経営が世界的にに脚光を集めているという話も、最近ではあるようである。

そんななか日本国内でも指折りの小売業に成長したPPIHではあるのだが、今後は同グループ独自の電子マネーアプリ「majica(マジカ)」に関して、若年層人口の50%を会員にすることを目標に掲げるなど、現状に甘んじることなくさらなる成長を目指している状況のよう。今回の創業者の若き息子の取締役抜擢は、その布石ともいえそうなのだが、果たしてどう転ぶのか、今後の展開に大きな注目が集まるところだ。

Next: 「メガネ白フレームだしまだモテようとしてる!」

1 2
いま読まれてます

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

MONEY VOICEの最新情報をお届けします。

この記事が気に入ったらXでMONEY VOICEをフォロー