市場は長年の超低金利に慣れてしまい、国債の金利が1%を超えて上昇する場面を見ていないため、金利上昇、価格下落のリスクに目がゆきません。
しかし、同じインフレ水準の米国10年国債の金利に比べて4分の1にあり、ドイツ金利の半分という日本の長期金利の異常さに気づいていません。
このまま日銀が保有国債を減らし、政策金利を引き上げ続けると、国債ロスは大きくなります。日銀自体、大量に国債を保有するために、国債の評価損が9月末で13兆6,600億円に拡大しました。日銀は時価評価せず、満期まで持てば損は実現しませんが、民間は時価評価が求められる金融機関などで、実現損に備えなければなりません。
子どもでなく現役世代の負担を
政府は毎年のように少子化対策を打っていますが、安易な国債発行は将来世代、つまり今の子どもや孫の世代に財政の付け回しをしようとするもので、少子化対策に反するものです。
現役世代の利益拡大の付けを後世に付け回さず、現役世代の中で負担すべきものです。
米国では個別政策ごとに歳出額とその財源を同時に議論します。財源が確保できず、安易に国債発行に流される事態を避けるために、政府の債務に上限を定めています。
これを引き上げるには議会での審議承認が必要です。日本ではあまりにルーズで、国債依存に何の罪悪感もなく、最後は国債発行でごまかそうとしていますが、市場のアンテナがさび付いていて、これに警鐘を発する金利上昇が起きない「機能不全」にあります。
無益な歳出をカット
税収減となる壁の引き上げに対して、無用な歳出のカットが考えられます。政府はもはや削れる費目はないといいますが、今回の裏金騒動の中で、政治家への政策活動費や旧文通費の不透明な利用が問われました。国民の間から政治家の生活費に使われている可能性のあるこれらの歳出をやめるべきとの声が聞かれました。
また政策実行にあたり、行政機関が直接行わずに、外部の機関、それも政府に近しい企業に委託し、巨額の委託料を支払っているケースも多々報告されています。また米国の要請で防衛費を5年で43兆円も用意し、米国の武器を購入するのも、果たして日本国民に有益なのか、同じ武器購入でも日本企業から買えば、国内生産増に寄与します。
これら無益な支出、政治家や海外への税の流出を抑えることで、国債発行が抑制されます。