若者にも広がる生活困窮
鈴木:だから、扶養照会って結構キツイなと思っているんですよね。それが生活保護を受けたくない一番の理由になっているんじゃないかなという気はします。
あと、自分が困っているのを見せたくないというので、若者もネットカフェで暮らしたりしているわけですね。ネットカフェ難民って昔は結構騒がれて、最近ぜんぜん言われなくなっているんですけれども、実際にはもう大久保とか行くと結構いたりするんですよ。
坂本:そうでしょうね。
鈴木:彼らも仕事は日雇いなんですが、ぜんぜん食っていけない。で、そういったネットカフェには女性専用のフロアというのもあって、女性とかもそこに家もない状態でいるわけ。もうホームレス寸前ですよね、隠れホームレス。
そういった人たちも、本当は生活保護とかを受けた方がいいんですけれども、やっぱり受けたくないと。それで夜の街に立ったりして、売っちゃいけないものを売ったりしているわけですよ。そういうところで、社会の底辺に対して何かちょっと今の日本の行政とか社会って、冷たいなという気はするんですよ。
坂本:大阪でも“グリ下”とかに、そういう子がいっぱいいますね。ただ大阪の場合、そういったところに支援しているNPO団体が別にありますので、そういうのでまだかなり助かっているのかなと。
鈴木:さきほど、18歳とかそういう若い子も相談に来るという話がありましたが、どういった境遇が多いんですか。
坂本:だいたい親から虐待されていたというのが多いですね。児童養護施設出身の子たちとか……。
鈴木:なるほど、機能不全家庭ですよね。そういう人たちを支援するのって、また違った困難があるものなんですか。
坂本:確かに生活保護は一時的には受けてもらいたいというのはあるんですけど、そこから社会復帰するとなった時に、実は収入が生活保護とあまり変わらないということもあって。若いうちに生活保護を知っちゃうと、がんばる気力が失せちゃうってこともあるんですよね。だから、僕も中卒なんですけど、僕でもこういうふうに社会でちゃんと役立ってがんばれているんだよということを、背中を見せていくしかないなと。
鈴木:なるほど。やはり若い子って生活保護を受けると、何もしなくてもこのままでいた方が逆にお金を楽にもらえていいんだというのがあって、どんどん怠惰になっていく。そういうところに問題があると。
坂本:人生って死ぬほど苦労したりとか、死ぬほど仕事したりとか、いろいろな場面があるわけなんですけど、そういう苦労をするからこそ、それを達成するからこそ、次のステップに上がれるっていうか、見える世界が変わってくると思うんですけど。
でも実際、生活保護を受けてると、例えば大阪の場合だと単身者だと月々11万5,000円あたりもらえるんですけど、社会復帰してバイトをがんばっても、若いからできる仕事も限られることもあって、月8万ぐらいがせいぜいで、それなら生活保護を受けてたほうがいいってなりますよね。
鈴木:確かにそうなりますよね。しかし、坂本さんはそういう若い人たちにも住居支援をしていると。
坂本:もちろん。
飛んでしまったらどうするのか?
鈴木:そういう社会的な信用もなく、保証人もないっていう若者にも、坂本さんが仲介に入って貸しているわけですけど、もしも彼らが飛んだりしたら、坂本さんがぜんぶ負担するわけですよね。
坂本:そうですね、今までそういうことが何百回とあります。
鈴木:そういうので活動が嫌になったりといったことは無いですか。
坂本:まあ、生活困窮して生活保護を受けないといけない人たちは、住居も借りられない人たちということを、僕はもともとわかっているんで。人生の歯車が合わない人たちというか、自分なりにがんばってるんだけど、世間や周りとかとうまくいかないとか。それを僕もわかっているので、もし何かあったとしても、僕はぜんぶ飲み込めるよっていう器量を持ってやってます。確かに逃げられた時には「くそー」とは思うけど、同時に「しゃぁないな」って。
ただ、1回飛んでダメだったらまた帰ってくる人もいるんですが、そういう人には「ウチはもう無理」って言います。以前は受け入れていたんですけど、そういう人を受け入れたせいで、ちゃんと家賃も払ってここでがんばっていこうと言っている人たちに、迷惑がかかったということもあるので。一旦そういうふうに飛んでぐちゃぐちゃにした人に関しては、「ちょっと僕はもう受け入れませんよ」というのは言ってます。
鈴木:冷静に考えてみれば、助けてくれる人って結構少ないと思うんですよね。それこそ坂本さんのように、無償でそこまでやってくれる人なんていないと思うんですよ。なのにそこを飛んで、1人で何かやっていけると考えているんですかね。
坂本:まぁ、どうにかなると思ってるんでしょうけど、どうにもならないから結構な頻度で戻ってくるわけで。ただ生活保護っていうのは、いくら飛ぼうが何しようが……例えば大阪で受けてて、そこから飛んで東京で再申請しますと言ってもできますからね。なかには「ここで飛んだら、お前一生、生活保護は受けられへんぞ」とか脅してくる人もいるんですけど、実際はそうじゃない。
その代わり返済義務があれば、返済しないといけないですが、ただし例えば、大阪で生活保護を支給されている時に、ぜんぶ一式を持って逃げました。で、そのお金で例えば北海道に行って、また生活困窮したら、そこで生活保護を申請できる世の中なんです、この日本というのは―― ※2024年12月中に初月無料の定期購読手続きを完了すると、以下の号がすぐに届きます。
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