fbpx

現代日本に巣食う「絶対貧困」から脱出はできるのか?【鈴木傾城・坂本慎治 特別対談】

生活困窮者に開放すれば空き家問題は解決する

坂本:僕の中で、それが貧困ビジネスだとは断定できないですけれども、そういう風に感じている相談者さんや当事者さんは多いんじゃないですかね。

僕は不動産屋もやっているので、空き家の相談とかにも乗っているんですけど、2033年には3軒に1軒が空き家になるといった予測もあるんです。で、この空き家が多い地域ってどういう地域なのかというと、実は田舎よりも都会なんです。戸数の絶対数が多くて、それらがめちゃくちゃ空きまくっているのに、新築の住宅もバンバン建っているからなんですが、これを活用していく方がいいと思うんです。

あと10年後ぐらいには今以上に空き家だらけになるって状況にも関わらず、無低やドヤのような三畳一間で共同トイレ・共同風呂といったところにみんなで住むっていうのは、僕からすればちょっとおかしいと思うんです。

行政が助長する貧困ビジネス

鈴木:なるほど。それにしても坂本さんがおっしゃるように、業者が生活保護をもらっている人から銀行口座からハンコまでぜんぶ取り上げて、無低からなかなか出ていけないようにしているといったケースが多いのにも関わらず、それを行政がむしろ勧めているというのは、おかしな話というか……。

241219_taidan_ss_2

坂本:僕もなんで見過ごされているのかなって。何かあるんじゃないかって感じてしまうんですけど、こちらとしても言いにくいんですよね。そこを突くのが怖いというか。普通に考えたらわかることじゃないですか、「それじゃあかんな」と。でも、それを行政が推奨して、無低の数を増やしていってるというのは、ちょっと僕の中では怖いなと思うんですよね。

鈴木:それに関してはひとつ噂があって。日本ってホームレスの数が少ないんですよね、世界的に見ても。何でかというと、そういった人たちを全部ドヤとかに入れて、生活保護のうちから少しだけ渡して、なかなか抜け出せないような状態を作るといった、いわゆる貧困ビジネスが横行しているからだと。

でも、それは世間にとっては都合が良いことで、何でかというと、街がホームレスだらけになったら景観が汚れたりするじゃないですか。だからホームレスはいない方が、普通の人にとっては良いんですよ。いうなれば貧困ビジネスが、ホームレスの存在を収容して世間から見えないようにしているという一面もあるという……。

坂本:僕もそういう思惑はあるのかなと思うんですけど。例えばホームレス生活があまりにも長引いて、どうしようもなくなった人たち、僕たちが声を掛けても日本語を忘れちゃってしゃべれないとか、そういったいわば野生化してしまっている人もいるわけで、そういった人たちの保護には僕は大賛成なんですよ。

ただそうじゃなくて、ただ失業しているだけだとか、すぐ社会復帰できるはずの人たちも、無低とかドヤとかに行くしかなくなっている今の状況というのが、おかしいっていうか。そういった人たちは、一般の賃貸住宅みたいなところで居住支援すれば、社会復帰がしやすいんですよ。僕らは身分証明や通帳などを取り上げないですから。

出戻り続出!危ない寮付き派遣

鈴木:ちなみに今、坂本さんのところに助けを求めて来られる方って、どういった層が多いんですか?

坂本:年齢的には40~50代の男性が一番多いです。最近では18歳ぐらいからもどんどん来ていますけど、逆に60~70代とかは少ない。これはなぜかと言うと、高齢になればなるほど他のセーフティーネットが使えるということもありますし、また生活保護を受けるにしても、「もうこの歳から就職するのは無理だろう」ということで、すんなりと通ることが多かったりと、いろいろな制度を活用できてる人が多いんです。

鈴木:なるほど。40~50代で失業して仕事が見つからないといった人が……。

坂本:仕事が全然見つからなかったり、たとえ見つかったとしても寮付きの派遣とかだったりすると。僕はその手のやつは「あかん」って言ってるんですけど。……というのもこれまでの経験上、そういう派遣の仕事に就いたとしても、一瞬は社会復帰を果たすんですけど、ほぼほぼ2~3か月とか1年以内に派遣切りとかに遭って、また生活困窮に陥って戻って来ると。

なかには「仕事があるからおいで」って呼ばれて、住んでるところから離れた遠方に行くんですけど、実際に行ってみたら仕事がなくて、寮費がどんどんかかって逆に借金が増えていく、というのがものすごい多いんです。

鈴木:へぇ、そんなことも。

坂本:前に相談者を京都駅に迎えにいったことがあって……普段は迎えに行くことはしないんですけど。その人は関東に住んでいて、地元で仕事がなくて困っていた時に、京都に寮付きの派遣の仕事があると呼ばれて、行ったらまったく仕事がなかった。

241219_taidan_ss_3

鈴木:仕事がないのに派遣会社は何で呼ぶんですか?

坂本:それがよく分からない。ただ、そういうことが派遣会社のなかでは多々あるみたいで。「呼んだけど無理やった」みたいな。そういった経緯で、よそから大阪に来ている人もめちゃくちゃ多いんですよ。

鈴木:そういう人は、もうお金も住むところもなくなって、どうしようもなくなって坂本さんのところに駆け込んでくるわけですね。

Next: 「助けて」と言えない人も。生活困窮者が避けたがる扶養照会の実状

1 2 3 4
いま読まれてます

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

MONEY VOICEの最新情報をお届けします。

この記事が気に入ったらXでMONEY VOICEをフォロー