立民の減額要請と自民の抵抗
今回の補正予算では異例の事態が起きました。
政府与党が提示した予算案があまりに放漫財政となったことに対して、野党の立憲民主党が1兆3,000億円余りの減額を求めたことです。逆ならわかります。米国ではこの逆が一般的で、民主党政権が大型予算を組んでも、共和党が減額を強く求めるケースが一般的です。
しかも、この異例の事態に、自民党は立民の要請のごく一部、つまり能登半島災害対策を予備費から1,000億充てることには了解したものの、ほかの削減案は拒否し、結局13.9兆円という、昨年を上回る規模の補正予算を組むことになりました。
欧米諸国では考えられないパターンです。
予算に歯止めがない
日本で放漫財政が続く背景には、欧米のような財政の歯止めがないことがあります。
例えば、ユーロ圏では財政赤字はGDPの3%以内とし、債務残高はGDPの60%以内とする縛りがあります。経済危機の時期を除いて、これを求めます。
またドイツでは憲法で均衡財政を規定しています。このため、ショルツ首相は苦戦するフォルクスワーゲンも考え、EV補助金を続けようとしましたが、財政赤字となるために、憲法がこれを拒否し、フォルクスワーゲンは経営危機に陥り、ショルツ首相は不信任を突き付けられました。
米国では財政規律を維持するために、連邦債務の上限を規定。これを引き上げる場合は議会で審議し、特に共和党は歳出削減など厳しい条件を付けなければ、安易に上限引き上げに応じません。このため、しばしば政府は資金ショートとなって公的機関の閉鎖を余儀なくされています。
残念ながら日本にはこうした財政を縛る規制がなく、政府与党までもが大きな財政によって自らの権勢を誇示し、国民経済よりも、自らのカネと権力を大きくすることが目的であるかのように財政を利用しようとしています。
この結果、政府債務のGDP比は200%を超え、世界最大の債務保有比率国となっています。






