<食品産業>
食品セグメントも、大きな増益になっていますが細かく見てみます。

プラス要因として海外食品事業(前年同期が減損の反動)とあり、これは前年同期比の数値が減損していたため当期は大きくプラスに見えることを表しています。
また、日本KFCホールディングス株式会社とPRINCESの株式を売却してプラスになっているとのことですが、これらも一時的な利益です。
大きな増益に見えている食品産業も、大半は一時的な利益によって生れています。
<S.L.C>
S.L.Cとは、スマートライフクリエーションの略で生活に関係する分野を幅広く扱う生活産業グループのことです。

ここのプラス要因は、ローソンの株を売った時の金額が上乗せされています。
これが1,000億円を超えるかなり大きな金額になっています。
その結果、S.L.C事業も大きな増益となっていますがほとんどが一度きりの利益です。
一時的な利益の増減
全体で見ると増益となっていますが、一時的な利益によって増益をなんとか確保しているような状況だといえます。
ここでは、具体的な数値でまとめてみます。
<プラス要因となった利益>
具体的な数字で表してみると以下のとおりです。
- ローソンの持分法適用会社化による評価益(+1,225億円)
- PRINCES(海外食品事業)の売却益(+154億円)
- 日本KFCホールディングスの株式売却益(+205億円)
- 豪州原料炭事業の炭鉱売却益(金額不明)
ちなみに、これらを足すと今期の第3四半期の増益分1,308億円を超えてしまっています。
<マイナス要因となった損失>
ここでは反対に、今期だけで出した損失も見てみましょう。
電力ソリューションセグメントの国内洋上風力発電事業で大きな損失を出しています。

洋上風力発電とは、海の上に風力発電を作る事業のことです。
NewsPicksの記事ですが、三菱商事が国内洋上風力発電事業で522億円の巨額損失を計上したとあります。
※参考:【真相】三菱商事が「522億円」の巨額減損を計上した(2025年2月7日配信)
国が発注した仕事でしたが、そもそも利益が残る事業なのかと当初から疑問視されており予想通りに損をすることとなりました。
この電力ソリューション事業の522億円の損失は一時的なものとなります。
この損失は今回限りなので、上の節の金額から減らすべき数字です。
当面は厳しくなるかもしれない
この一時的な利益の増減を見ると、特にローソンの持分法適用会社化による評価益(+1,225億円)が大きいです。
今期の一時的なものを除くとほとんど増益になっていないことがわかります。
また、鉱山を売ってしまったことや原料炭価格が下がり続けていることを考えると、継続的な収益が次期以降は減ってしまうので当面は苦しくなるとみています。
三菱商事の株価は下落を続けていますが、株式市場はこの状況を見越していたとも考えられるでしょう。
次の第4四半期の本決算が発表される時に、来期の業績予想が公表されますが足元の状況を見ると厳しいのかもしれません。