三菱商事の特徴
ここまでは、三菱商事は当面の間苦しい状況に陥りそうだということを解説しました。
ですが様々な角度から見ると、必ずしも三菱商事が投資対象として悪いとはいえません。
ここでは、長期投資の観点で考えるとどうなのかを紹介します。
長期投資を行う上では、その会社がどういった特徴を持っているのかを押さえなければなりません。
そこで、三菱商事の特徴について見ていきましょう。
<資源投資型のビジネスモデル>
三菱商事は原料炭や鉄鉱石、天然ガスなどに投資しているため、資源価格が上がっている時には高い価格で売れるので儲かります。
ですが、資源価格が下がると掘るためのコストなどで利益が出なくなってしまうこともあります。
三菱商事の利益は大半が資源によるものなので、業績は資源価格の変動に大きく左右されてしまう特徴があることをわかっておきましょう。

上の画像をみてもわかるとおり、地球環境エネルギーと金属資源セグメントの2つだけで大部分を占めています。
ちなみに、これまで業績が良かったのは資源価格が上がっていたことが理由の1つとしてあります。
<投資事業>
三菱商事は様々な事業に投資して、そこから上がってくるリターンを積み重ねて利益を生み出しています。
普通の会社は基本的に1つの事業に特化していますが、三菱商事は資源を含むいろんな事業に投資をする会社です。
投資なので洋上風力発電のように失敗することもありますが、トータルでプラスにして利益を得ることを目的としています。
三菱商事が投資した金額に対してどれだけ利益が上がっているのかを表すROAは4%程度で、リターンが高いわけではありません。
分散しているので急激な伸びはないかもしれませんが、安定していて大きな変動なく収益を得続けられることが期待できます。
三菱商事のPERの推移は?

2019年のPERは、だいたい7倍程度となっています。
2024年に入ってから、大きく株価が上がった局面ではPERが15倍になっています。
やはり資源価格の変動リスクがあるという冷静な観点で見ると、PER15倍は高いです。
2024年2月現在、PERは約10倍です。
収益性は低く成長性が高いわけではないので、PERはこのくらいが妥当と考えます。
三菱商事の配当金利回り
配当金は、利益からでます。
PERが低いということは、利益に対して株価が低いことを表していますから配当利回りは高いといえます。
2024年2月現在の利回りは、約4%と高水準です。
さらに三菱商事は、累進配当を宣言しています。
累進配当とは、基本的に配当を減らさずに増やし続ける方針のことです。
注意点として、累進配当は緩い約束のようなものだと思っておきましょう。
仮に資源価格が下がって大赤字になれば、配当を減らすことも普通です。
累進配当は確実なものではありませんが、配当金目当ての投資家にとっては悪い話ではありません。
三菱商事を長期投資の観点から投資判断
ここまで、三菱商事の特徴について解説してきました。
事業的には様々なところに投資をして利益を得ている会社ですが、投資先が資源に偏っている部分もあり資源価格に業績が左右される企業だといえます。
そのためリスクが高いと見られていて、PERは低めとなっています。
ですが、配当金利回りは高く比較的安定して増えていく可能性のある銘柄です。
これらを踏まえ買うことを検討している人、売るべきか検討している人がそれぞれどの観点から判断すればいいのかについて長期投資家目線で解説します。
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