賃金上昇率次第で、急速な利上げ織り込み&ドル買い再開も
今年は残すところ7月、9月、11月、12月と計4回のFOMC(連邦公開市場委員会)が予定されていますが、なんと現在(7月7日時点)の金利先物市場が想定する利上げ確率は、7月、9月、11月はいずれも0%で、12月が14%に止まるのみとなっており、ほぼ全く織り込まれていないことが伺えます。
昨年末には4回、今年3月には2回とされていた利上げ回数ですが、ここに来てついに0回という予想が大勢になりつつあるわけです。
しかしながら、この見通しが正しいのかと言えばかなり疑問です。
6月米雇用統計における賃金上昇率(平均時給)の事前予想値は、前月比0.2%増、前年比2.7%増とされていますが、これは2%のインフレターゲットの達成に必要とされる前年比3.0~4.0%増という数字の下限にかなり近いです。
今週発表された6月14~15日分のFOMC議事録において、「何人かのメンバーは利上げの先送りがインフレの行き過ぎを招くリスクがある」と指摘していたことを考えると、もしも前月比0.4%増、前年比2.9~3.0%増という予想を上回る結果となった場合には、早期利上げ期待が急速に高まってドルが買われる展開も十分あり得るでしょう。
もっとも、ご存知のようにFRBの見解がコロコロ変わっていることから、市場も半信半疑でドルを買い進めていくことになりますから、賃金の上振れは少しずつジワジワという値動きで相場に反映されそうです。