ハイパースケーラーの100兆円投資は持続可能か
より大きな視点で見れば、キオクシアの好調を支えているハイパースケーラーたちの動向自体にリスクが潜んでいます。
現在、世界の株価は「彼らがAIにどこまで投資し続けるか」という一点に支えられています。
彼らの投資額は、2026年には100兆円の大台に届こうとしています。
しかし、グーグルが100年債を発行して資金を調達し始めたように、これまで儲かりすぎていた彼らですら、AI投資のためにキャッシュを使い果たし、フリーキャッシュフローがマイナスに転じようとしています。
もし「AI投資をしても思ったより儲からない」「電力が足りなくてデータセンターが作れない」といった理由で投資のスピードが鈍れば、キオクシアを含む半導体関連企業、さらには日本株全体に激しい「雪崩」が起きる危険性があります。
現在、日経平均は5万9,000円と絶好調ですが、その中身はAI関連という非常に狭い領域に依存しています。
一般の庶民の消費が冷え込んでいる中で、AIへのフルベットという危ういバランスの上に、今の相場は成り立っているのです。
理想と現実のギャップを見極める
キオクシアは現在、理想と現実の間に生じた巨大な需給の歪みの中で、かつてない利益を享受しています。
しかし、投資の世界に「タダ飯」はありません。
AIへの高い理想と、電力制約やマネタイズの難しさといった現実の間のギャップが広がれば広がるほど、将来の調整リスクは高まっていきます。
長期投資家としては、今の熱狂に浮かれることなく、常に「最悪のシナリオ」を想定し、リスクを適切に分散することが重要です。
キオクシアがこのまま突き進むのか、あるいは再びサイクルの波に飲まれるのか。その分岐点は、AI投資がいつ「実利」を伴うビジネスへと着地できるかにかかっています。
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『 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 』(2026年3月5日号)より※記事タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による
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【毎日少し賢くなる投資情報】長期投資の王道であるバリュー株投資家の視点から、ニュースの解説や銘柄分析、投資情報を発信します。<筆者紹介>栫井駿介(かこいしゅんすけ)。東京大学経済学部卒業、海外MBA修了。大手証券会社に勤務した後、つばめ投資顧問を設立。