■ケイファーマ<4896>の開発パイプラインの動向
1. iPS創薬事業の続き
(2) FTD治療薬(KP2021)
FTDは、脳の前頭葉と側頭葉が委縮することによって引き起こされる認知症で、米国では認知症患者の10~20%程度がFTDであるとされている。発症年齢は40歳以上で、初期段階では自発性の低下や言語障害が見られ、中期には常同行動や反復行動が現れ、後期には精神機能が低下する。発症から平均6~8年で寝たきり状態になることが多い。現在、根治療法はなく、症状に応じた対症療法が行われており、日本では指定難病に認定されている。日本における患者数は約1.2万人で、治療薬の市場規模は300億円と推定される。
2024年10月に米国で開催された国際学会で候補化合物を発表し、そのなかから最有力の化合物の選定が完了し、国内で用途特許も申請済みだ。現在は国内で第1/2相臨床試験を行うべく、PMDAやFTDの専門医師、CRO(開発業務受託機関)などと協議して治験計画を策定している段階で、2026年内の治験計画届提出、2027年春の治験開始を目指している。患者数が少ないことから症例数は数十名規模となることが予想される。海外での開発戦略としては、希少疾患であることから単独で開発を進めることも可能だが、ライセンス契約と両睨みで検討を進めることにしている。
(3) HD治療薬(KP2032)
HDは遺伝性の神経変性疾患の一種で、特定の遺伝子が変異することで大脳基底核や大脳皮質が変性・委縮し、不随意運動や行動異常、認知障害などの症状を引き起こす疾患である。発症年齢は30代が多いが、小児期から高齢まで幅広い。根治療法がなく、症状に合わせた対処療法が行われており、日本では指定難病に認定されている。日本の患者数は1,000人弱と極めて少ないが、北米では患者数が3.3万人、市場規模で3,150億円と推計されている。
2024年10月に米国で開催された国際学会にて候補化合物を発表し、そのなかから最有力の化合物の選定が完了し、用途特許も申請済みだ。開発は患者数が比較的多い北米で進める可能性が高く、第1/2相臨床試験の開始に向けて、HDの専門医師と協議を行っており、FDAとも治験計画に関する事前ミーティングを行う予定にしている。具体的には、プロトコルの策定pre-INDミーティングを行う予定で、北米で臨床試験を行う場合は2027年以降となる見通しだ。また、ライセンス契約交渉も並行して進めていくことにしている。
(4) 難聴(KP2061)
難聴の患者数は国内で約1,200万人にのぼり、様々な原因によって発症する。加齢性難聴や騒音性難聴など、改善が困難な難聴については、補聴器や人工内耳などの人工聴覚機器を装着することで改善が図られることが一般的だが、最近では遺伝子治療や再生医療分野での研究も進展している。
同社は2023年に北里研究所と難聴治療薬の企業治験に向けた共同研究契約を締結するとともに、候補化合物を既に同定し、用法特許も取得している。ただ、難聴を適応症として開発を進める場合は、大規模な臨床試験を行う必要がある。このため、同社単独で行うことは現実的ではなく早期導出を行うか、難聴のなかでも特定の疾患に絞って開発を進めるか、専門医師の意見も聞きながら方針を固めていく考えだ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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