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マツオカコーポレーション:アパレルOEM大手、ASEAN地域での生産規模拡大と工場DXの推進で収益力向上、株主還元も強化

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マツオカコーポレーション<3611>は1956年設立、広島県福山市に本社を置くアパレルOEM(相手先ブランドによる生産)のリーディングカンパニーである。呉服店として創業後、縫製業へと転換し、日本の製造業が国内生産に注力していた1980年代からいち早く海外進出に着手している。現在は、中国、バングラデシュ、ベトナム、ミャンマー、インドネシアに自社工場を展開するグローバル生産体制を構築している。

同社の事業は「縫製事業」と「ラミネーションフィルム事業」の2セグメントで構成される。主力の縫製事業は全社売上高の85%程度を占め、カジュアルウェア、ワーキングウェア、インナーウェアなど多岐にわたる品目を生産する。同社の主要顧客はファーストリテイリングや東レグループなどの国内大手企業であり、日本メーカーとしての高い品質、安定した製品供給を通じて強固な信頼関係を構築している。その中で、近年のファーストリテイリング社の右肩上がりの成長に伴い、OEM元である同社も供給量の増加を通じて業績を拡大させており、強固な相乗効果が見て取れる。一方、ラミネーションフィルム事業は売上高の15%程度を占め、透湿防水機能を持つ高機能素材の加工・販売を行い、主にアウトドア・スポーツウェア向けに展開している。

事業環境については、米中貿易摩擦や地政学的リスクの高まりを受け、アパレル業界全体で「脱中国」の動きが加速している。また、世界的なサステナビリティ意識の高まりにより、強制労働の排除や環境配慮など、サプライチェーンの透明性が厳しく求められている。こうした中、長年ASEANやバングラデシュへの生産地シフトを進め、自社工場による直接管理を徹底してきた同社の体制は、顧客にとって「信頼できるサプライチェーン」として競争優位性を維持し続けると考える。

2026年3月期の通期連結業績予想は、売上高が前期比4.8%増の74,000百万円、営業利益が同476.2%増の2,500百万円、経常利益が同11.9%増の4,700百万円、当期純利益が同15.4%増の3,000百万円を見込む。なお、同社は独自指標として実質的な本業の収益力を示す「為替差損益調整後営業利益」を重視しており、第3四半期時点では前年同期比12.5%増の3,587百万円と、着実に稼ぐ力を伸ばしている。縫製事業において、猛暑によるワーキングウェア(ファン付きウェア等)の需要増や、バングラデシュ新工場の稼働率向上が寄与し、大幅な増益を達成している。一方で、ラミネーションフィルム事業は前期のヒット商品の反動減や中国内需の低迷により、減収減益となっている。

同社は2025年11月に新中期経営計画「BEYOND2028 ~Stitch the Future~」を策定した。最終年度となる2029年3月期に売上高900億円、経常利益60億円、ROE9%以上を目標に掲げている。重点戦略として、インドネシアでの新工場建設を含むASEAN・バングラデシュでのさらなる生産キャパシティ拡大を図る。また、スマートファクトリー化によって生産・在庫・収益を見える化し、納期短縮・安定供給・コスト削減・品質強化を実現することで、生産性の向上を目指す。

株主還元については、資本コストを意識した経営への転換を掲げ、2027年3月期の配当より配当方針を配当性向35%程度という目安を設けている。2026年3月期の配当については、前期と同額の1株当たり90円(予想配当性向約31.3%、予想配当利回り約4.04%)を予定している。

投資の視点としては、同社が推進するASEANにおける生産規模の拡大と工場DXによる主要施策が、利益率の向上という形で結実しつつある点はポジティブである。現在の株価指標はPBR1倍割れの水準にあり、予想配当利回りも3.64%と高水準であることから、新中計目標が順調に進捗することで、再評価の余地は大きいと考える。

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