さらに、指数構成の偏りも無視できない。2024年時点で、S&P500の時価総額上位はテクノロジー企業が占めており、上位10社で約30%に達している。この状況では、パッシブ資金は必然的に大型グロース株へ流れ続ける。
一方で、食品セクターの構成比率は数%台にとどまり、資金の流入は限定的だ。つまり、食品企業は指数の中で存在感が薄く、資金配分の優先順位が極めて低い。
おまけに、このセクターは退屈すぎて投資家を心躍らせるような「新しさ」は何もない。AIや半導体のように将来の成長ストーリーを語ることができず、ニュースにもなりにくい。
コカコーラ【KO】やペプシ【PEP】は「ただの砂糖水」だと投資家は嘲笑している。マクドナルド【MCD】やドミノピザ【DPZ】もジャンクフードだと見下されている。
フィリップ・モリス【PM】やアルトリア【MO】のようなタバコ銘柄は、配当利回りが3~6%台に達していても、規制リスクや健康問題といったネガティブな側面ばかりが強調されて誰も推奨しない。
地味である、急成長しない、嫌われる、話題にならない。食品セクターや食品銘柄というのは、だいたいそういう認識で、将来はないと思われ続けている。
だが、AIが流行したからと言って人間は何も食べなくなるのだろうか?
数十年単位で配当を維持または増配
人は時代がどう変わろうと、コカコーラやペプシを飲むし、マクドナルドもピザも食べるし、ケチャップをぶちまけるし、スターバックスに行ってコーヒーを飲むし、人によってはタバコも吸う。
これらはAI時代になろうが何だろうが需要が消えない産業であり、売上が安定しており、キャッシュフローが継続的に生まれていく。だが、こうした企業群は、低評価のまま放置されている。この状況は、投資という観点では明確な「ゆがみ」である。
食品セクターは放置されているが、その収益基盤はほとんど揺らいでいない。2020年のパンデミック時においても、食品関連企業の売上は大きく落ち込まなかった。外食から家庭内消費へのシフトはあったが、総需要そのものは維持された。
この特性は他の多くの産業には見られない。途切れることのない需要が、そのまま収益の安定性につながっているのだ。
今後、インフレも継続するだろう。ブランドを持つ食品企業は、もちろん価格転嫁も可能だ。世界中で食品価格がどんどん上昇しているが、大手食品企業の多くは原材料コストの上昇分を販売価格に反映させている。
たとえばゼネラル・ミルズ【GIS】などは値上げを段階的におこないながらも販売数量の大幅な減少を回避し、結果として利益率を維持している。このような企業は、価格決定力を持っている。だからこそ、インフレにも勝てる。
私が今、これらの企業に強く関心を持つようになっているのは、見捨てられ過ぎて高配当の企業が続出し、さらに配当の安定性も抜群のものがあるからだ。
食品セクターの主要企業は、数十年単位で配当を維持または増配してきた実績がある。
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