■会社概要
3. 同社の強み
ゲームデバッグを中心に実績を上げ、ゲーム業界に対する深い知見を蓄積してきたポールトゥウィンホールディングス<3657>は、以下のような強みを有している。
(1) デバッグ・検証のリーディングカンパニー、ネットサポートでの実績
ゲーム分野では、日本初のデバッグ専業事業者として6,000以上の家庭用ゲームソフト、10,000以上のモバイルコンテンツに関与してきた実績を有しているほか、国内で3千人超、海外で2千人超と大規模なテスターのネットワークを構築しており、デバッグのリーディングカンパニーとしての地位を確固たるものにしている。また、Eコマース分野においては、20年以上にわたる大手ネットサービスの監視、審査実績により不正対策の知見を蓄積している。
(2) ゲーム業界への深い知見
ゲーム業界との強固な取引関係を生かし、ゲームの共同開発やチューニングなどのサービスを展開してきた実績を持ち、蓄積してきた知見を国内外のグループ会社で共有することで事業拡大につなげている。
(3) 海外展開
M&Aを活用しながら展開地域を拡大し、現在は海外14ヶ国17拠点、約2,500名体制で顧客に価値あるソリューションを提供している。ローカル企業だけでなく日本から海外に進出する企業に対して、サービス・ライフサイクルの上流から下流まで各種ソリューションサービスを提供できることも強みである。
(4) 「システムとヒト」の同時活用による高品質サービスの提供
「システムとヒト」の同時活用によって、提供ソリューションの質を高めていることも同社の強みとなっている。業務プロセスでは、AIで代替可能な業務が増えるなかでも、同社グループでは「人」による最終確認を行い、「システムとヒト」それぞれの良さを組み合わせることで業務品質並びに生産性の向上を図っている。例えば、デバッグ業務やサーバーモニタリング業務では、機械的に判断できるエラー検知はシステムで行い、データ上では不具合と判断できないものの、これまでの経験から「適切ではない」と思しき部分はスタッフが直接確認し報告している。品質の定義やエラーパターン、不正行為が日々進化するなかで、「システムとヒト」の併用によって柔軟性、効率性を高めながら、提供するソリューションの品質向上を実現している。また、カスタマーサポート業務においては、世界各国からのローカル言語で入ってくる電子メールなどの問い合わせをAIで英語に自動翻訳し、スタッフが英語で回答した文章を自動翻訳してユーザーに返信する体制を整備することでサポートセンターの集約化を実現している。デバッグ業務に関しては音や色合い、ゲームの世界観などについての学習データがまだ少なくAI化が困難な業務と位置付けられており、今後も同社の強みは維持できると考えられる。
4. 主な業務の競合状況
(1) 国内ソリューション
ゲームデバッグの国内市場は、同社とデジタルハーツホールディングス<3676>で市場をほぼ二分しており、全体でも10社前後の寡占市場となっているようだ。コンソールゲームでは同社が5割のシェアを握り、モバイルゲームではデジタルハーツホールディングスが若干上回る。また、アミューズメント(パチンコ・パチスロ)分野でも同社は7~8割のシェアを握っている。寡占状況となっているため収益は安定しているが、以前と比較するとテスターの構成人員比率でフリーランスが低下し、正社員やアルバイトが上昇したため、収益率については若干低下していると見られる(社会保険料の負担が増加)。
ソフトウェアテストでは、SHIFT<3697>が業界トップの地位を確立しており、デジタルハーツホールディングスやバルテス・ホールディングス<4442>が続いている。同社の事業規模はこれら大手と比べて小さいものの、ゲームデバッグで培った運営ノウハウや高いサービス品質により、シェア拡大を目指している。
ネット監視業務については、イー・ガーディアン<6050>やアディッシュ<7093>のほか、大手CRM事業者などが競合として挙げられる。イー・ガーディアンに関しては売上規模が同程度であるが、同社が主にネットショップにおける出品物の不正チェックを行っているのに対して、イー・ガーディアンは動画・テキストの投稿内容に関する監視が中心で領域が異なっており、同社の直接的な競合としては大手CRM事業者が挙げられる。顧客先ではネット監視業務を3社程度に外注しており、サービス品質によって取引シェアが変動する。同社は高品質なサービスを強みとして、主要取引先でのシェアを徐々に拡大しているようだ。
(2) 海外ソリューション
海外ソリューションについては、工程、地域ごとに競合が多く存在するが、ゲーム分野において同社と同じくサービス・ライフサイクルの上流から下流まで一気通貫で提供している企業としては、Keywords Studios Ltd.(英国、2024年非公開化)がある。海外ではコスト競争力を維持するため、インドやブラジルなど人件費の安い地域にオフショア拠点を開設している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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