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円高は本当に悪なのか?今、日本人に笑顔が戻りつつあるという皮肉=斎藤満

家計にプラスとなる円高・物価下落

30日発表の家計調査で7月分の収入支出を見ると、名目の実収入は前年比2.2%も減少していますが、物価が下落している分、実質の減少分は軽減されています。

このため、実質ベースの家計消費も7月は前年比0.5%の減少と、相変わらずマイナスではあるものの、減少幅が縮小しています。

7月の実質消費水準は4-6月の平均水準を約1%上回り、久々に消費に回復の兆しがうかがわれるようになりました。7月の小売りも、実質では前月比でプラスになりました。これも円高、物価下落の賜物です。

この物価下落には円高、原油安も少なからず寄与しています。光熱費やガソリン代などのコスト低下が購買力を支え、輸入食料品などが円高で安くなり、実質ベースで押し上げられている面もあります。

皮肉なことに、日銀がインフレにしようと、円安で物価を押し上げていたころは、実質購買力の低下で消費が減りましたが、物価が下がると消費が回復する形になっています。

円安や物価高は本当に良いことなのか?

政府日銀は1ドル100円に迫る円高にやきもきし、市場も政府の円高阻止策に期待を寄せ始めました。確かに、円高は反射的に株価を押し下げ、企業収益を圧迫し、外国人旅行者の爆買いを冷やします。しかし、これらが過去3年半でさんざん美味しい思いをしてきたのに対し、家計はアベノミクスの犠牲を一手に引き受けてきました

その犠牲に対して、政府が財政面で手を差し伸べるくらいなら、現在の円高、物価下落という「神の恵み」を享受することで、家計が救われれば、政府にもプラスになります。家計に負担を強いる形で企業利益の拡大をもたらすアベノミクスが、全体として見れば経済成果を挙げられなかったことは周知の事実でしょう。

日銀の「総括検証」を機会に、アベノミクスもこの際、円安や物価高を目指すことが日本経済のために本当に良いのかも含め、総点検してみる必要があります。

昨年は銀座を歩くと爆買いの中国人が笑顔で闊歩していましたが、今は円高還元セールが復活し、日本人に笑顔が戻りつつあります。


※本記事は、『マンさんの経済あらかると』2016年8月31日号の抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会に今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。月初のご購読は得にお得です。

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マンさんの経済あらかると』(2016年8月31日号)より
※太字はMONEY VOICE編集部による

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金融・為替市場で40年近いエコノミスト経歴を持つ著者が、日々経済問題と取り組んでいる方々のために、ホットな話題を「あらかると」の形でとりあげます。新聞やTVが取り上げない裏話にもご期待ください。

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