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「トランプ元気で留守がいい」初外遊で透けた市場の本音と政治リスク=近藤駿介

「大統領は元気で留守がいい」とばかりに堅調に推移して来た米国市場。トランプ大統領の初外遊からの帰国は、政治的リスクが再燃するオープニングベルでもある。(『元ファンドマネージャー近藤駿介の現場感覚』近藤駿介)

プロフィール:近藤駿介(こんどうしゅんすけ)
ファンドマネージャー、ストラテジストとして金融市場で20年以上の実戦経験。評論活動の傍ら国会議員政策顧問などを歴任。教科書的な評論・解説ではなく、市場参加者の肌感覚を伝える無料メルマガに加え、有料版『元ファンドマネージャー近藤駿介の現場感覚』を好評配信中。

政治リスクの高まりと金融政策の不透明感払拭で綱引き状態に

【G7】米国と他の6カ国の溝は大きい

トランプ大統領が就任以来初の外遊に出かけ、国を留守にしている間の株式市場は「大統領は元気で留守がいい」と言わんばかりに、NYダウが6営業日連続の上昇を記録するなど概ね堅調な展開となった。

トランプ外遊週間の締め括りとなる伊タオルミナG7では、貿易問題地球温暖化対策において米国と他の6カ国の溝が大きいことが明らかになった。この2点で溝が生じるのは、G7のなかで米国だけが「政治的ビジョンよりも経済的実利を優先するビジネスマン大統領」であることの影響。

「保護主義的な措置は貿易拡大を阻害する」と呼びかける首脳達に対して、トランプ大統領は「不当廉売や補助金、非関税障壁といった不公正貿易を是正すべきだと強力に主張した」と報じられている。

こうした討論における伏線は、トランプ大統領が23日に提出した、農業セクターに対する連邦政府支出10年間で465.4億ドル削減する方針を示している予算教書

世界最大の農産物輸出国でもある米国が農業セクターに対する補助金等を削減する方針を示した後の「不当廉売や補助金、非関税障壁といった不公正貿易を是正すべきだ」という主張は、トランプ政権に対する保護主義というレッテル貼りを無力化するとともに、輸出品に対する補助金等の引き下げ要求を正当化する武器でもある。

日米貿易にも広がる波紋

自由貿易を標榜する日本の2016年対米輸出額は14兆円強である。輸出企業に対する消費税還付制度を設けている日本は、計算上輸出企業に1.1兆円強の事実の輸出奨励金と言われる還付金が配られている。

トランプ政権が農業セクターの補助金削減の方針を掲げたということは、今後の日米貿易交渉において、消費税還付制度が批判の対象になることは十分に考えられることである。もしそうなれば対米輸出の3割、金額にして4.41兆円を占める自動車を中心に、日本の外需を支えている自動車関連分野に大きな影響が及ぶことになる。

トランプ帰国で高まる政治的リスク

トランプ大統領の外遊中堅調な推移を示した米国株式市場だが、トランプ大統領は帰国後からコミー前FBI長官の議会証言や、娘婿クシュナー上級顧問も捜査対象となっている「ロシアゲート事件」の対応に追われることになる。批判対象の主役であるトランプ大統領の帰国は、一時的に鎮静化していた米国の政治的混乱政治的リスク再び揺り起こすことになることは必至の情勢である。

外遊中に大規模な武器輸出など大型商談をまとめたトランプ大統領。帰国後はロシアゲート事件の広がり次第では大きな政治的混乱をもたらす可能性もあるが、今回の外遊で米国企業に恩恵をもたらすべく種を撒いたことはことだけは確かである。

Next: 一方でトランプ不在中、金融政策に無視できない動きが

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