金融政策に無視できない動き
トランプ大統領の初外遊中には、金融政策に関しても注目すべき動きがあった。24日に公表された5月2、3両日の連邦公開市場委員会(FOMC)議事録では、再投資をやめる資産の規模の上限をまず「低い」水準に設定し、四半期ごとに段階的に引き上げていく戦略にほぼ全ての当局者が好意的な見解を表明したことが示された。その目標は「保有を減らすことと、債券トレーダーにとって退屈なイベントとすること」(Bloomberg)。
こうした機械的なやり方は、2014年1月~2014年10月まで実施されたテーパリング(量的緩和縮小)の成功体験を準えたもので、市場に不要な思惑を生じさせないという点では最良の方法であるといえる。テーパリングが10カ月で終了したのに対して、現在4.5兆ドル規模に達しているFRBのバランスシートの縮小を完了するまでには数倍の時間を掛ける必要がある。
最良の選択肢であったとしても、バランスシート縮小完了までの間、テーパリングと同様に金融市場に大きな混乱が起きない保証はない。いえることは、バランスシート縮小による金融市場への影響が、最小限に留まる可能性が高くなったということだけである。
「大統領は元気で留守がいい」とばかりに堅調に推移して来た米国株式市場にとって、トランプ大統領の帰国は政治的リスクが再燃するオープニングベルでもある。こうしたなか、金融政策においてバランスシート縮小方法についての不透明感が薄れたことは金融市場にとっては好材料であるといえる。
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『元ファンドマネージャー近藤駿介の現場感覚』(2017年5月28日)より
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