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それは本当に「追加緩和」か? バイアス相場で高まる政治リスク=斎藤満

現在の市場には「緩和慣れ」による大きなバイアスがかかっているように見えます。それだけに、当局者や政治サイドからのちょっとした動きが、相場を大きく動かすリスク要因になりかねません。(『マンさんの経済あらかると』斎藤満)

プロフィール:斎藤満(さいとうみつる)
1951年、東京生まれ。グローバル・エコノミスト。一橋大学卒業後、三和銀行に入行。資金為替部時代にニューヨークへ赴任、シニアエコノミストとしてワシントンの動き、とくにFRBの金融政策を探る。その後、三和銀行資金為替部チーフエコノミスト、三和証券調査部長、UFJつばさ証券投資調査部長・チーフエコノミスト、東海東京証券チーフエコノミストを経て2014年6月より独立して現職。為替や金利が動く裏で何が起こっているかを分析している。

※本記事は、『マンさんの経済あらかると』2016年10月24日号の抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。

市場の「緩和期待」は、叶えられない可能性が極めて高い――

あらゆる材料を「追加緩和」と誤解する市場参加者

現在の市場には「緩和慣れ」による大きなバイアスがかかっているように見えます。それだけに、当局者や政治サイドからのちょっとした動きが相場を大きく動かすリスク要因になりかねません。

そもそも、主要国市場では長期間続いた「金融緩和」が染み込んでいて、それが終わろうとしているとの認識がほとんどありません。むしろ、金融当局がちょっと動くと「追加緩和」と捉えるバイアスがかかっています。

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例えば、9月の日銀決定会合では、日銀が「マイナス金利付きQQE」から「長短金利操作付きQQE」に枠組みを変えたのですが、これが追加緩和と捉えられました。市場だけでなく、海外の主要紙でも日銀の新たな「刺激策」との見出しが躍りました。

そして市場の反応は円安・株高となりました。これには市場やメディアの先入観が強く反映されています。日銀は「検証」によってマイナス金利の副作用を強く認識し、それを軽減するうえで、イールド・カーブを立てようとしたわけで、「修正策」としての枠組みを提示したにすぎません

ところが、市場も主要メディアも「追加緩和」「刺激策」と捉えて反応しました。実際には、10年国債の利回りをゼロに引き上げようとし、長期国債買い入れ額を減らす方向で考えられていたわけで、どちらかと言えば、「異常緩和の終了から縮小」を意味し、引き締め転換につながる面があります。それでも、当局が緩衝材として「利下げを含め、追加緩和の余地あり」とした言葉にすがりました。

これは日銀の「緩和後退」の意向に対し、市場やメディアが「追加緩和」と誤解した例です。

Next: 期待や先入観はECB(欧州中銀)の政策にも。広がる市場と当局の“ズレ”

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