さる3月31日、平成27年度の税制改正関連法が参院本会議で可決、成立しました。法案の目玉のひとつと言われるのが「ジュニアNISA」です。
「ジュニアNISA」と「NISA」は何が違う?
「ジュニアNISA」とは、0歳から19歳までの未成年者が利用できる制度で、これまでは20歳以上に限定されていた口座開設、投資が可能になります。年間の投資上限額は80万円。投資した年から最長5年間が非課税となる点はNISAと同じですが、子どもが18歳になるまでは非課税での払い出しができない点がNISAと大きく異なります。また、未成年を対象にしているため原則として実際の運用は親権者が代行することになります。
ジュニアNISA創設の裏側
ジュニアNISAができた理由は大きく3つあります。一つ目は投資人口を増やすため。金融庁によるとNISA口座を開設し、運用している人の多くが高齢者層。今回のジュニアNISAを通じ、若者に投資に対し興味を持ってもらい、理解を深めることが狙いのひとつとしてあります。
二つ目は世代別に偏っている金融資産を均等にするため。国内の金融資産の多くは中高年層が保有しており、若年層はほとんどもっていないのが現状です。この隔たりを解消することも目的です。
三つ目は長期投資を促す目的です。若年層は18歳の大学進学時などにまとまったお金が必要となります。長期間での資産形成を後押しすることは保護者の瞬間的な負担を減らすことにもつながります。
問題点はないの?
「ジュニアNISA」の問題点として指摘されているのが格差の助長です。投資資金の提供元となり実際の運営をするのも両親や祖父母になるということで、お金持ちの家庭はより優遇され、そうでない家庭との貧富の差が広がるのではないかという指摘があります。
また、結局の所、保護者の資金を元に運用するということはジュニアNISAができる目的の1つである「若者に投資に対し興味を持ってもらい、理解を深めること」につながらないという指摘もあります。
大きな期待が持たれる一方で見逃せない問題点も包含する「ジュニアNISA」。ともあれ、少々限定的ではありますが、“お子さんがいて、非課税の投資金額を増やしたい人”にとっては魅力的な制度であることは間違いないでしょう。