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イタリア国民投票の焦点~欧州から逃避する巨額マネーは日本に向かうか?=矢口新

勢い増す「イタリアEU離脱」の機運

五つ星運動(5SM:5 Star Movement)は、ウィキペディアによれば、

2009年10月4日に人気コメディアンのジュゼッペ・ピエーロ・グリッロと、企業家・政治運動家のジャンロベルト・カザレッジョによって結党された。大衆の不満に率直な賛同を示す人民主義政党(ポピュリズム)として行動し、近年の欧州経済危機とそれに伴うマリオ・モンティ政権時の経済改革により、雇用不安や増税を背負わされた国民の中流層・下流層から急速に支持を集めている。党名の由来であり、シンボルでもある五つの星は社会が守り抜くべき概念(発展・水資源・持続可能性のある交通・環境主義・インターネット社会)を指している

とされる。

ちなみに、「ポピュリズム(大衆迎合主義)」の対義語は、「エリート官僚主義」とでもなるだろうか?同党が掲げる「社会が守り抜くべき5つの概念」への賛同はともかく、5SMは欧州連合、ユーロ圏を含む、政治エリートが作り上げた既存システムに不満を持つ人々の支持を集めている。その意味では、ブレグジットやトランプ支持に共通するものがある。

国民投票で賛成派が勝てば、レンツィ首相が憲法と選挙法を改正し、2017年の半ばに総選挙を行うと予想されている。そうなれば、レンツィ首相の長期安定政権が成立する可能性が高い。

一方、反対派が勝つと、レンツィ首相は辞任すると表明している。その場合も、2017年の半ばに総選挙を行うと予想され、得票率1位の政党が自動的に54%の議席を確保できるため、5SMが政権を担う可能性が高い。

同党はイタリアのユーロ圏残留・離脱を問う国民投票の実施を公約しているため、イタリアのユーロ圏、あるいは欧州連合離脱の可能性が浮上する。

「否決」なら最大8つの銀行が危機に

イタリアの銀行は、総額で3560億ユーロの不良債権を抱えているとされる。ここに、国民投票が否決され、5SM政権の可能性が高まると、これまでの支援体制の枠組みが揺らぎ、最大8つの銀行が危機に至るとされている。

ユーロ圏決済システム「ターゲット2」のデータによると、3-10月にイタリアから8カ月連続で資金が流出、純債務は2008年以降のECBの記録で最大水準を記録した。公的債務残高はGDP比133%に達し、ユーロ圏で2番目の多さで、政府が銀行システムを支えるどころか、政府のデフォルトの可能性も取沙汰されている。

国民投票が近付くにつれ、イタリア政府や銀行の借入コストが上昇しているが、それでも、ユーロ圏の債務危機が深刻化していた2010-11年時の水準からは大きく下回っている。しかし、国民投票が否決されると、更に上昇すると見込まれている。

ECBは、国民投票を受けてイタリアの借入れコストが急上昇した場合には、月額800億ユーロの資産買い入れ策を通じて、イタリア国債を買い支えると示唆した。

Next: イタリアEU離脱の確率は?/巨額資金はどこに逃げるか。円や日本株は?

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