楽観できない不良債権問題。ネガティブサプライズはあるか?
イタリアでは日本円に換算して約43兆円もの民間銀行の不良債権があり、レンツィ首相の辞任で、この処理に一層の混乱が生じる恐れもあります。
特にモンテ・デイ・パスキ・ディ・シエナという銀行(創業は1472年という世界最古の銀行)の不良債権比率は今年の9月現在35.5%にものぼり、同行の株価はこの1年間でほぼ10分の1まで下落という危機的状況です。
同行は増資を計画していると伝わっていますが、現在の時価総額(株価×発行済み株数)とほぼ同等の金額を調達する予定とのことで、破綻しかかっている銀行にそれだけの投資をする人がいるか、危ぶまれています。
EUでは、「EUまたは各国政府が銀行に資金注入する前に、株主・債権者がまず損失を負担すべし」との規定があり、イタリア政府による資金注入は直ちには進められない状況です。この規定も銀行のスムーズな再建を困難なものにしています。
もっとも、直近の情報では政府は民間からの資本調達計画が頓挫した場合に備え、「予防的な」資本注入のための作業を進めており、来週にもこれが承認される可能性があるとのことです。この方法は、政府は株主と債券保有者にも一部損失負担を強いるならば、資本不足の銀行を支援することが認められている、というものです。
ただ、真偽の程は分かりませんし、一部の株式と劣後債はただの紙切れになる可能性もあるとのことです。
モンテ・パスキの資本増強計画が頓挫すれば、破綻処理を余儀なくされます。ヨーロッパの銀行ではイタリアに限らず、スペインも不良債権を抱えています。同行が破綻処理されれば、欧州全体が混乱に陥る可能性は十分にあり、ここしばらくは欧州情勢に注意が必要です。
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『資産1億円への道』(2016年12月8日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による
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資産が1億円あるとゆとりある生活が可能と言われていますが、その1億円を目指す方法を株式投資を中心に考えていきます。株式投資以外の不動産投資や発行者が参加したセミナー等で有益な情報と思われるものを随時レポートしていきます。